2009年05月05日

砂の上の植物群

『砂の上の植物群』
これも中平康監督です。
吉行淳之介の小説が原作。


砂の上の植物群.jpg


とことんモダンなデザイナーかと思いきや
こういう観念的で比喩めいた映像も撮れる方なんだぁ、と。
冒頭から、クレーの絵を赤い絵の具でもってその調和をぶちこわして、
小説の書き出しで頭をかきまぜて、
モノクロなのにそこだけ暗い床屋での会話、
姉妹との出会い、
もはやデザインではない、
夢のような漠とした世界がつくられていきます。


主演が仲谷昇さんでして、これがまた映像にぴったりきています。
怪しさが全開なのに、まだ何か隠されている様で
一向に正体が掴めません。
あと姉妹も両方とも美人さんでした。
仲谷昇さんと稲野和子さん(姉役)の揃いは妖気がしゅうしゅうとしています。
妹役の西尾三枝子さんも、
あの「真っ赤な口紅」のところ、ほんとに綺麗です。
モノクロ映画なのに、最初のクレーの絵のぶちこわし効果もあってか
映像では黒い「赤」が、毒々しい深紅に見えてきます。


観たあとには何かしらのトラウマが植えつけられてしまうような気がする。
そんな映画です。
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2009年05月03日

誘惑

中平監督特集へ。
今回は『誘惑』

誘惑.jpg



写真とタイトルから、じっとりした映画かと思っていたら
ずいぶんとカラリとした青春コメディでした。
若き芸術家たち(といっても「お金になる」なんて随分と現実的な意志をもっている方々もいますが)
のコミカルな青春群像劇とでもいいましょうか。


左幸子さんが可愛。きゅうりパック・・・!
あとお父様のやっている洋品店で働いている女の人(写真↑)が綺麗。
お化粧する前から綺麗ですよー。
きつねのおばさまも「いかにも」なおばさまで愉快。
左幸子のあとにお茶の教室横の廊下を
同じパターンで走るコケティッシュな若者は中原早苗さんでしたかな?
(このへんの軽快でユニークな動きはさすが中平監督です。)


ほんの少しだけですが、岡本太郎と東郷青児も本人役で出てます。
やっぱりすごいな中平監督は…。


しかし皆様すぐに人をコロリと好きになってしまうのね。
「誘惑」をするのじゃなくて、それを待っているかの様です。
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2009年05月02日

彼とワルツしてこい

「オレとナオヤのロングトーンvol.1」@下北沢440

「オレとナオヤ」の「ナオヤ」が示すところはつまり
 沢田ナオヤさんでして、
「オレとナオヤ」の「オレ」が示すところはつまり
 双葉双一さんでして、
「オレとナオヤ」が呼んだゲストはつまり
 滝本晃司さん(Gさん)でして、

……すごいメンツ。

沢田さんは知久さんのライブで何度か見たことがあって
曲はものすごくほんわかで、幸せで、
でも人はなんだか挙動不審でへんてこで
知久さんとライブでも何故か消されることのない不思議な人でした。
そういえばアムリタ食堂の知久さんライブで
知久さんが沢田さんと双葉さんの為にステージ貸してあげたり
してましたね。


一番手が沢田さん。
何故か耳に残る「チキンライス」や、
「チキンライスの5年後ですわ」という
続編曲(タイトル忘れました)も聴けまして
やっぱりこのひとは平和的です。
こんなに平和的なひとがどうしてこんな危険人物たちと交流するのでしょう・・・。


点線と恋

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次にGさん。
ゲスト出演にも関わらず、重力のある曲をいくつもやっていた印象です。
「雨の日の午後」とか
「オシエテ」とか。
Gさんは沢田さんも双葉さんも好きで、今回は呼ばれてすごく嬉しくて来たけど、
いつもひとりで行って、ひとりで歌って、ひとりで帰って、な
生活をしているので緊張している、
ストレスも感じる、みたいなことを仰っていて……
やっぱりGさんだなという感じでした。
どこでもGさん。


水槽の中に象

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で、双葉さん……。
登場するなり
「最近…、
 よくカップルの待ち合わせ場所に使われる
 双葉双一です」
と謎の自己紹介。
それが強烈すぎて、なんだか歌はあんまり覚えてません。
人差し指で前髪を直したり、
ぴょこんとおじぎをしたり
「レコード買うとき…、
 カバーつけてもらうタイプの
 双葉双一です」
という謎の自己紹介とかが強烈過ぎて。


手に捧げる歌

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そんな交わらないかんじの3人が交わることはやっぱりなく、
双葉さんが何も言わずにステージを終えたあと、
微妙な空気でアンコールが起こり
双葉さんが何も言わずにアンコールのステージも終え、
微妙な空気でまたアンコールが起こり
沢田さんが現れて、そのオアシスにちょっとほっとして、
沢田さんがきちんと次の流れを含ませてからアンコールのステージを終え、
なんかわかったかんじで3度目のアンコールが起こり
Gさんのステージ。そして終わり。
Gさんが大トリ。

「オレとナオヤのロングトーン」のしきたりがよくわかりませんが
なんだかこの交わらない空気に多少の安堵も覚えつつ
ミックスカルチャーの街、下北を後にしました。
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月曜日のユカ


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『月曜日のユカ』

中平康監督の特集だったんですが
中平監督のモダンな画や音楽と加賀まりこさんの魅力がぴったりでしたね。
ただ、ぴったりだろうなと観る前からわかってたので、
過剰な期待をしすぎた感もありましたが。
いやでも加賀まりこさんはほんとに可愛い。
可愛い女優さんはたくさんいるし、
優劣はつけられないけれど、
観ていて、「お人形さん!!」という感想をもつのは
加賀まりこさんだけです。


もっとずっと自由奔放なユカを想像していたので
「月曜日のユカ」が示す彼女の在り方はちょっと意外でした。
でも月曜日のユカの格好がまたなんとも可愛い。
あれをファッションとして着て許されるのも
加賀まりこさんだけだなぁ。


で、加賀まりこさんの恋人役が
中尾彬さん(ネジネジ前)なんですが…
結構熱い純情な青年として現れるのですが…
でもどうしてこの人は若い頃こんなに怪しいのでしょうかね。
うさんくさくて絶対に信用したくないタイプ。
ネジネジの今の方が自然に見えます。
別にネジネジが無いから不自然てわけじゃないですよ。
でもあんな風に、普通の青年とし出てくると違和感が。


なんだかモダンな空気が似合いすぎていたが為に
いちばんモダンだったオープニングが最も魅力的でした。
あとユカの鼻歌。
フィルムとして映える方ですよねぇ…。


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2009年04月05日

のこぎり引きの慶


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『武士道残酷物語』

師を仰ぎ忠誠を尽くしたが為に周囲を不幸にしていく
哀しくも恐ろしい運命を辿る一族の話を
中村錦之助さんが7代にわたって演じ切るという
意欲的な作品なのですが

いや話も本当にきちっと作られていて、
武士道の愚かしい残酷さに
観ているこっちの方もえぐられる心が痛むのですが

音楽もジャジーでかっこいいし、
ベルリン国際映画祭で金熊賞とったというのも
なんかわかる気がするのですが


でもこの映画はすべて、
ひとつのエピソードに出てきた残酷な家臣、慶様にあるのではと。
主人公は苦悩しながら忠義を通して不幸になっていくのですが
慶様は忠義なんてさらさら無くて、
ナチュラルに、ただ慶様というだけで反旗を翻した百姓どもへ
「のこぎり引きの刑がよろしいかと」
って薄ら笑い(もちろん表情の筋肉は一切動かさない)ながら
殿様に提案できちゃうのではないかと。


加害者と被害者が成り立つとき、他のすべてのひとが
加担や同情を感じている、というのではなくて、
直接の加害者として君臨してはいないけれど
すべてを意のままに壊してしまう人が他にいる、
その図式がつくられることで
残酷は更に精度を増している様です。
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2009年04月03日

血のり

Catsupライブ@下北沢440


Catsupのレコ発ライブ。
ほんとに何年ぶりでしょう、ケチャップ。
兄妹を観に行っていなかった間にも、
他の兄弟を含めた熊坂一族の多才っぷりを
感じ入る機会はありましたが、
ふたりを観るのがほんと久々。
いつもの440です。


レコ発ということでやなちゃんもゲストとして
登場し、ちょっと時間とりすぎじゃないかしら、と
思わなくもないお祝いステージをやってくれていました。
Catsupのステージにはもうひとりの「熊」さんも含めた
3匹の熊ライブ。
きっと音のジャンルはそれぞれ違うのだろうけど、
Catuspの愛され方が優しくて和むひとときでした。

そしてCatuspのふたりもほんとに仲がよくて、
仲がよすぎて兄妹というよりも夫婦みたいです。
ほんとの血液じゃなくて、
それこそケチャップみたいな血のり風の、
おいしい赤い液体でつながってる感じ。



catsup

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ジャケットもかわいいから画像あるといいのにな・・・。
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2009年03月28日

そばにうどん

『チーム・バチスタの栄光』
存在は知っていたのだけれど、ストーリーについての予備知識は全然。
なので脚本の思うがままに、安易に
「あーそうなんだー」「こういう展開なんだー」と
思ってはひっかかりひっかかり観ていました。


バチスタ手術の映像が結構生々しくて、
その意味だと思っていたよりもちょっと見づらかったです。
もっと気楽な感じの映画かと。

展開はわりと面白かったのですが、
映画としては、もうちょっと一人一人の人物描写を
きっちりやってほしかった感がありました。
なんだか展開だけでするする進んでいってしまってたので、
原作の方が面白いかもなぁ、と。
でも阿部寛が
「蕎麦をおかずに饂飩を食ってる」(逆だったかも)という場面は
妙に印象的でしたが。

主役と言うか、バチスタ手術の執刀医役の人の顔を
どこかで観たことがある、誰だっけ、と
劇中ずっと気にしていたら、エンドロールで吉川晃司の名前。
「あー!」って、
映画の犯人わかったときよりスッキリしてしまったのでした。



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2009年03月27日

ハレとケ


『25日 最初の日』
『キツネとウサギ』
『アオサギとツル』
『霧の中のハリネズミ』
『話の話』



今年もユーリの特集へ。

『ケルジェネツの戦い』がやらなかったんですね。

自分にとってアニメってものすごく特別な位置にあるって最近感じました。
だから日常としてあんまり関わってほしくない部分があるというか
いや日常として目にとびこむアニメに
魅力的なものがあんまりないのかもしれません。
だからテレビでアニメやってても、
そこで止まって観るというのがあまりできなくて、
映画館(好きなところでなくては×)へ行ったり
DVDを買ったり借りたり、
そうして自分から近づくスタイルになりつつあります。


その辺の感覚って、
もしかしたらユーリの存在で出てきたものかもしれませんね。
ユーリやユーリのアニメはいろんなところで紹介される機会が増えたけれど
昔はそれを望むところが多少はあったかもしれないけど
いまは、毎年足を運んでいるこの映画館でしか
ユーリの作品を観たくなくなってきています。


また来年も逢おうね、ユーリ。
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2009年03月22日

Eesti Vabariik

今日、へんてこな夢をみました。

デンマーク人を前にして、
「前にデンマークの映画を観てたら、
 主人公がホテルの部屋を借りる際、
 "天気がよければスウェーデンも見えます"
 って説明を受けるシーンがあったんだけど
 デンマークとスウェーデンて、日本でいえば
 "天気がよければ富士山も見えます"っていうくらい気軽というか、
 身近というか、国境感のないところなの?」と質問。

するとデンマーク人の青年は悲しい顔をしながら固まってしまいました。
そして隣にいた私の友人の女の子を経由して、
フランス語で何かを必死に伝えようとします。
それはどこかの国名のようで、
女の子の方もそれが日本語でいうどこなのかを
必死で思い出しているようでした。
ひとりだけ答えの出るのを待っている私は堪えかねて
適当に「ハンガリー?」と口を挟みます。
適当とは言えど、自分の中では
どこかドイツ臭のある国を挙げています。
デンマークにそんなイメージを持っていたので。
女の子は「あぁ、近い気がする。そういう感じ」と一言。

デンマーク人の青年は、
悲しい顔をしながらもう帰りたそうにしていました。(完)



そんな夢から覚めた朝、私が感じたのは
「エストニアだったかなぁ。」ということです。
デンマーク人の彼が私の質問を受けて
何故国の名前を伝えようとしたかは不明ですが、
でもあの国がどこだったかを知りたかったです。


さてさて、長い前置き。
エストニアのアニメ特集へ行ったのでした。
これに行かなかったら、
きっとエストニアの名前は一生出てこなかったでしょう。


エストニアのアニメ特集へ。
上映作品は

『ネイル』 
『ハビング・ソウル』 
『キャベツヘッド』
『戦争』
『カメラマン“コップス”イン・マッシュルームランド』


いやきっと半分くらい寝てしまったのですが。


私が人や国に対してドイツのイメージを少しでも重ねるときは
歴史というよりは、その国自身に
どこか暗かったり、精神的に衰弱していたり、
強い論理が残っていたり、あくまで知的だったり
そういうものを感じているときです。
(あくまで個人的なイメージとして。)
エストニアアニメもそうでした。
『ネイル』や『ハビング・ソウル』なんて特に。

夢に出てきたデンマーク人の青年の悲しい顔が
エストニアアニメを観たあとの心境にだぶります。
彼が伝えたかったことはわかりませんが
彼から伝わったのはヨーロッパの中の、
そんなちょっと荒涼とした感じです。
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2009年03月21日

幸せのタイル

「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」展
  @渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム


映画と同じ建物でやってたので。
今回の企画、電車内のポスターなんかでは
ピカソの「鏡の前の女」が美術展自体の「絵」として
大々的に貼られていたのですが
実際行ってみると「近代ヨーロッパ美術史+クレー」みたいな感じで
「鏡の前の女」はすごくよかったんですが、
ピカソとクレーの特集を期待していった人は
肩透かしだったかもしれません。


そんなに個性のある展示ではなかったけれど、
いつになく解説もしっかり読んで、美術史の流れとか、
時代の特性を直接絵で感じとることができました。
あとの収穫といえば、クレー再発見でしょうか。

これまでクレーってそこまで興味をもてなくて、
ただの綺麗で可愛い幾何学文様としか思ってなかったんです。
クレーの感情や、作風以外の個性が掴めなくて。
でも改めてクレーの絵を直接何枚も観ているとほんとに情感派。
言葉で表せない幸せや皮肉や恐怖がたっぷりつめこまれてます。


ピカソとクレーの生きた時代.jpg
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