2009年06月08日

下下下の妙

キム・ギヨン監督の古め映画『下女』

映画館チラシの異様な写真から興味をもちました。
こういうカットがあるならば、全体もきっと面白いんだろうな、と。
ていうよりも、このカットを観るためだけにでも行きたいな、と。

下女.jpg


写真もタイトルも、なんだか不気味で得体の知れない感じです。
前に、フリッツ・ラングの作品についても「得体が知れない」と
書いたと思いますが、
ラングともちょっと違う。

ラングのが、紳士的なのに得体が知れない、
っていう上流的なのに対して
こっちのが、まんま泥臭くて得体が知れない、
お化け屋敷みたいな埋立地みたいな、
怨念的で地下的な得体の知れなさに思えます。
でも、どっちもインテリ風なところはありますけど。


ある裕福で幸福な家庭の主人が、下女と関係を持ったがために
生まれていく悲劇… と、ストーリーを言葉で書くと薄っぺらですが
冒頭の女生徒の自殺とか、その友人とか
妻の怒り狂う様とか、そしてそしてまさかまさかのラストとか
不条理を感じるくらいの展開が脳をぐらぐらにさせて、
ストーリーのスピードとは関係なく、めまぐるしい作品です。
なのに何だか観た後に「うわー、すごかった!よかった!」と
力が湧いてくる感じ。


さて、これを観に行った映画館は『10話』を観たとこなんですが
実は普段そこまで頻繁に行くわけではなくて、
この時期たまたま良い条件が揃って行ったわけです。
チラシ自体も偶然手にして、いろいろ観たかったのですが
この作品を選んだのだってほんとにたまたま、
この作品を観に行ったのですが、なんと友人ジャックさんに遭遇。
驚く私にのたまうに、「私は、Cuiも来ると思ってたけどね。」
作品の不気味さにあいまって、
ジャックさんエスパー説まで浮上です。
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2009年06月06日

人間狩り

中平康監督、長門裕之主演、『人間狩り』


時効目前の事件の「犯人」を追う刑事の話。
この「犯人」がただの悪人であれば勧善懲悪の話になるんですが
そうでない場合、善良な市民で、偶発的に事件が起こってしまった場合、の話なので
少し難しくなります。
またこの刑事(幼少時代に家族を殺された、犯罪被害者)の想い人が
自分が過去に捕まえた容疑者の恋人だっていうところも絡み合って
悪とは何か? 許すとはどういうことか?
まで発展する、ほんとに社会派な作品でした。

モダンの代名詞みたいな中平監督ですが、
実はこういう作品もいくつか撮っている様ですね。

個人的に、長門さんは人の良いろくでなしみたいな役が合う方だと思うので、
他の人でも成り立ったかなと思います。
長門さんが合わないというわけではないんですが
でも観るとしたらやっぱり明るい長門さんが観たくて。

犯人役の大坂志郎さんはほんとに善人ぽくて魅力的でした。
中原早苗さんがまた親想いの
「明るくていいお嬢さん」な感じが合う人なので、
壊したくなくなってしまう、平穏な家族がしっかりと見えてきます。
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2009年06月05日

10話

アッバス・キアロスタミ監督の『10話』

10話.jpg


公開当時も、その後いくつかあったキアロスタミ特集でも
なぜだか観に行くタイミングを逸していたのですが
はじめからずっとずっと観たかった映画。
この日も実は観に行けなくなる可能性がかなり濃く出ていたのですが
この日映画を選ぶことは、週明け月曜日までの精神的な平穏を
自ら壊すこともわかっていたのですが
長年の想いを優先して、走りました。

タクシー運転手の女性と、
その車に乗り込む人々。
たまに女性が助手席に座ったりしますが
基本的には乗客のみが固定カメラで映されて、
室内での会話や、その表情だけが絶えずクローズアップされています。


この映画を観て、現代イランの女性の地位や権利について…
というのは、もちろん考えられる人はいるんでしょうが、
私はそこまで社会的なものとしては捕えませんでした。
ある程度の規制がある国だから出てくる言葉や状況もあるけれど
悩む姿自体は現代にもイランにも特定されない様な気がして。

難しいことを考えようとすればいくらでも考えられる映画で
また考えたくなってしまう映画でもあるんですが
それでもやっぱり、
最後まで残るのはあの固定された枠の中でのカットで
ものすごく視覚的なものです。
視覚が映像を捕えてるんではなくて、
映像に視覚を捕えられている感じ。
キアロスタミはどうしてこんなことができるのかな。
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2009年06月03日

博打に負けたんだろ

『丹下左膳餘話 百萬両の壺』


丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]

丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日活
  • メディア: DVD





山中貞雄監督の作品。観るの二回目なんですが。

これを初めて見た年は年末発表のベストテンにこれを入れてなかったんですね。
それが二回目になって怒涛の自己叱咤に繋がるのでした。
こんなにも、こんなにも面白いのに!
撮り方も音楽もモダンで軽快で、
役や役者はこんなにもチャーミングなのに!
一回目、不覚にも途中で少し眠ったからといって
この作品の魅力はどのシーンでも途絶えてないでしょうよ。

武士とその妻との壺探しをめぐるやりとりや
左膳と的屋のおかみさんとの子供をめぐるやりとり、
壺をかかえて歩き回る子供と、周りの状況とのめぐりめぐりが
テンポもよくてものすごく小気味いい。

なんでベストテン入れなかったかな…。
悔しくて唸っても、
子供はわらってくれないし、
左膳は声をかけてくれません。
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2009年05月31日

日曜日に雨

Gさんライブ@吉祥寺マンダラ2

Gさんライブでした。
そうそう、Gさんといえば5月頭の440ライブで、
佐野元春さんくらい髪が伸びていたことにまずびっくりしたのですが
この日も見慣れず、再度びっくりしてしまいました。

ライブは斉藤さんと、
あともう一人トランペットの方が少しサポートで入った珍しい構成。
斉藤さんアレンジ版「太陽がみているだけ」に
トランペットが入ることでさらに夕暮れ感が強まりましたね。



…と、記憶を絞りだしてみるものの
今回のこのライブについては他に殆ど思い出せないのです。
ここのところ更新が全然できなくて、
それでも記憶だけを頼りに、半年近く前の活動履歴を
暇のあるときにしたためてきましたが
ここにきてついに限界がきてしまったか…。
何せこのライブについては、場所がマンダラ2だったということを
思い出すのにも時間を要した程です。

このブログは私が勝手に書いて、ネットワークにのせているだけなので
更新しなくても、内容が薄くても
誰に迷惑をかけてしまうわけではないのですが
ここまで思い出せないと、自分でげんなりしてしまいます。



ただ、この日のライブについてはもう一つ思い出したことがあります。
日曜日だったのですが、あいにくの雨で、
それにひっかけてGさんが「日曜日の雨」をやってくれたこと。
最初に聴いたときから、
いや聴く前にも、歌詞を読んだときから大好きな曲。
この曲をライブで聴けたのは初めてかもしれません。

「日曜日に雨 ほんとにそれだけ
 日曜日に雨 何から何まで ただそれだけ」


ろけっと

ろけっと

  • アーティスト: たま,滝本晃司,柳原幼一郎,知久寿焼,石川浩司
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1997/11/19
  • メディア: CD





もうそろそろ若くないので、
これからはちょっとでもメモをとるようにしないと。
思い出せないからといって、
その時何の感想も持たなかったわけではないですからね。

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2009年05月24日

四季の愛欲

『四季の愛欲』

これも中平監督の作品だったのですが、やっぱり面白かった!です。
愛欲というとなんだかいかがわしくて重苦しい風に聞こえますが
もっとファッショナブルというか、とにかくセンスがちりばめられてて
それでいて重鎮な役者さんがしっかりと端をおさえてくれています。


あらすじというよりは、
あちこちと繋がりあってる人間関係で話が進んでいきます、
この人とあの人が繋がってて、
一方であの人はあっちの人とも繋がってて、
こっちでこういう動きがあったからあっちではこうひねる…
そしてその繋がりは、単純に人間関係の設定だけじゃなくて
同じ場所・部屋で違う人たちの話が動きあったりと
映画としての「観せ方」からも感じとれる様になってます。
感性を刺激してくれる映画。


四季の愛欲.jpg


山田五十鈴さんがとびきり素敵でした。
熟女の色気というのですかね。
あと、ちょっと意志の面だらしない感じが魅力的に出ていて、
つい観ている顔の筋肉も緩んでしまいます。
ラストシーンがこれまた、絶妙の間でもっておかしい。

そして宇野重吉さん。
宇野さんは桂木洋子さん(不貞を働く)の旦那さん役だったのですが
「桃子はわるい妻でした」と高い声でか細く詫びる妻を
とてつもなく寛大で、純粋なこころで許してくれます。
この映画で一番「いいひと」の役でした。心は鷲掴みに。


若い人では、中原早苗さんが可愛かったです。
特に洗濯してるとこ。
お母さん(山田五十鈴さん)を
呆れながらも心配してる優しい子でした。
兄さんにはちょっと厳しめでしたが。

あとは、桂木洋子さん。
そもそもちょっと気になる女優さんでしたので。
『密会』(あれも中平監督でしたね。)でも、やや心の弱い
よろめきさんで、桂木さんそのものにそういうイメージがあります。
それが何故だか私にはちっとも嫌に感じられないんです。
役者さんとして好き、というよりは
人間として興味があるのかもしれません。
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2009年05月23日

異形

阿修羅展.jpg

「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館


知る人ぞ知る阿修ラーの私にとってはまさに小躍りする展示会。
そりゃあ、仏像やらはお寺で観るのが一番だとは思いますが
京都に頻繁に行くわけじゃなし、
それに、今回はケースごしじゃなくて、直に、
360度まわってあの三面六臂を観れたのですから。
ルーブル同じく、何度も足を運びなおした展示会です。
(開催時期重なっていたのですが、両方とも断念したこと数回。)


展示の目玉が自分にとっても目玉すぎて、
展示会そのものについての評価はできなくなっているのですが
でも、面白かったです。
阿修羅だけじゃなくて、八部衆、十代弟子、
それから何やらの仁王や四天王(正確には違うかも)も
ずどーんずどーんと生で観れて、
「迫力」読んで字の如く、まさに迫ってくる力。


しかし阿修羅があんなに人気だとは。
彼の周りは満員電車よりもぎゅうぎゅう。
日本人は異形をきらうと思っていたのですが
あの三面六臂はむしろ調和的に映るのでしょうかね…。
私だけが阿修羅好きだと思っていたのに、少し切ない気分です。
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2009年05月14日

京都から二千匹発送しました。

燐光群公演
「京都から二千匹発送しました。」@梅ヶ丘BOX


燐光群の舞台をBOXで観たくて、チケットをとりました。
あの狭い狭い、舞台と客席の境目のない空間で体育座りして、
今回も痛いテーマ。
ただ、今回はやさしさがメインでしたが。


京都から二千匹発送しました。.gif


お芝居のもととなっている実際の事件については
恥ずかしながら知りませんでした。
部活動の最中に起こった事件から、昏睡状態になった女子中学生。
学校側の「対応」については、
冒頭で語られた台詞がほぼ現実なんだと推察できますが
舞台は「それから」の、家族や友達や、
事件後にやってきた先生たちの話。
重たいテーマなのに、普通の劇と比べてもややコミカルに進みます。



「下敷きになっている事件の裁判は、今年の3月に判決が出ました。
 原告である家族の側の主張がほぼ認められた、
 全面勝訴という形で終っています。
 勝訴と言っても娘さんの意識は回復するわけでなく、
 娘さんとともに家族の生活はずっと続いていきます。」


パンフレットに載っていた、制作者のことば。
ここなんだろうなぁ、と思います。
「二千匹」は、日本人なら一度は触れたことのあるだろう動物で、
この動物の意義は、結局観念的なものでしかないけれど
そこに必ずしもやさしさが含まれているかはわからないけど
生活はずっと続いていく、
そこにこの動物は、やっぱり必要なんじゃないかと思います。
裁判が終われば事件が終わり、っていうものじゃないから
事件の後に続いてく怒りややさしさは、
ここに根付いてるのじゃないかと、今はそんな風に思います。
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2009年05月09日

Musée du Louvre

「ルーブル美術館展 ‐17世紀ヨーロッパ絵画‐」@国立西洋美術館

ルーブル美術館展.jpg


あまりに混んでいた為2〜3回足を運びなおしたルーブル展。
といってもこの日も30分待ちでした。


目玉はフェルメールの「レースを編む女」でした。
フェルメールは日本で人気がありますよね。
意外と小さい小さい絵で、そこにただでさえ多い人が群がっていたので
近くで観るのには苦労しました。


個人的には「リュートを持つ道化師」(フランス・ハルス)と、
「大工ヨセフ」(ラ・トゥール)に見ごたえを感じました。
ルーブルは行ってみたいけど、当面行ける予定はないし、
日本にそっくり来るのももちろん無理なので
こうやってちょっとずつ来てくれるのも嬉しいですが
ルーブル展というと必ずといっていいほど混むので、
落ち着いて観られないのが難点ですね。
常設展もあとでまわったのですが、
そちらの方が絵をしっかり観れた気がします。

周りにも何人か観に行った人はいたのですが、
どれも今一つな感想を漏らしていたのは、
やっぱりこういう環境も関係するのではないかな。


今回の展示(17世紀ヨーロッパ絵画)とは関係ないですが、
ルーブルだったら、いつか二ケが観たいです。
でもやっぱり東京で観るよりも、ルーブルで、
いやサモトラケ島で観たいというのが本当のところですかね…。
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2009年05月06日

猟人日記

猟人日記.jpg

『猟人日記』
これも中平康監督・仲谷昇主演です。


この作品に関しては、中平監督や仲谷さんを知る前から
作品個体として「観たい!」と思っていたものでした。
あらすじ自体が面白そうで。
観たら、本当に面白かったです。あらすじが。きっと原作が。
そして映画のスタッフ・キャストによって
さらに面白くなっている様で
大満足!な映画でした。


夜な夜な孤独な女性を狩る男がつける猟人日記。
いつしか、過去に仕留めた女たちがつぎつぎと殺されることに気づく。
そしてある日、獲物の女を尋ねると
そこには女の死体が…。
という作品。
でももっともっともっと深くて緻密で、
観てるうちにどんどんとひきこまれます。


ここでも仲谷さんと稲野さんの揃いが見られるんですが
やっぱり素晴らしいですわ。
しかし、仲谷さんは何故にフランス人のふりをするのでしょうかね…。
そして何故に女性陣はあっさり信じてしまうんでしょうかね…。
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