2009年05月23日

異形

阿修羅展.jpg

「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館


知る人ぞ知る阿修ラーの私にとってはまさに小躍りする展示会。
そりゃあ、仏像やらはお寺で観るのが一番だとは思いますが
京都に頻繁に行くわけじゃなし、
それに、今回はケースごしじゃなくて、直に、
360度まわってあの三面六臂を観れたのですから。
ルーブル同じく、何度も足を運びなおした展示会です。
(開催時期重なっていたのですが、両方とも断念したこと数回。)


展示の目玉が自分にとっても目玉すぎて、
展示会そのものについての評価はできなくなっているのですが
でも、面白かったです。
阿修羅だけじゃなくて、八部衆、十代弟子、
それから何やらの仁王や四天王(正確には違うかも)も
ずどーんずどーんと生で観れて、
「迫力」読んで字の如く、まさに迫ってくる力。


しかし阿修羅があんなに人気だとは。
彼の周りは満員電車よりもぎゅうぎゅう。
日本人は異形をきらうと思っていたのですが
あの三面六臂はむしろ調和的に映るのでしょうかね…。
私だけが阿修羅好きだと思っていたのに、少し切ない気分です。
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2009年05月09日

Musée du Louvre

「ルーブル美術館展 ‐17世紀ヨーロッパ絵画‐」@国立西洋美術館

ルーブル美術館展.jpg


あまりに混んでいた為2〜3回足を運びなおしたルーブル展。
といってもこの日も30分待ちでした。


目玉はフェルメールの「レースを編む女」でした。
フェルメールは日本で人気がありますよね。
意外と小さい小さい絵で、そこにただでさえ多い人が群がっていたので
近くで観るのには苦労しました。


個人的には「リュートを持つ道化師」(フランス・ハルス)と、
「大工ヨセフ」(ラ・トゥール)に見ごたえを感じました。
ルーブルは行ってみたいけど、当面行ける予定はないし、
日本にそっくり来るのももちろん無理なので
こうやってちょっとずつ来てくれるのも嬉しいですが
ルーブル展というと必ずといっていいほど混むので、
落ち着いて観られないのが難点ですね。
常設展もあとでまわったのですが、
そちらの方が絵をしっかり観れた気がします。

周りにも何人か観に行った人はいたのですが、
どれも今一つな感想を漏らしていたのは、
やっぱりこういう環境も関係するのではないかな。


今回の展示(17世紀ヨーロッパ絵画)とは関係ないですが、
ルーブルだったら、いつか二ケが観たいです。
でもやっぱり東京で観るよりも、ルーブルで、
いやサモトラケ島で観たいというのが本当のところですかね…。
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2009年03月21日

幸せのタイル

「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」展
  @渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム


映画と同じ建物でやってたので。
今回の企画、電車内のポスターなんかでは
ピカソの「鏡の前の女」が美術展自体の「絵」として
大々的に貼られていたのですが
実際行ってみると「近代ヨーロッパ美術史+クレー」みたいな感じで
「鏡の前の女」はすごくよかったんですが、
ピカソとクレーの特集を期待していった人は
肩透かしだったかもしれません。


そんなに個性のある展示ではなかったけれど、
いつになく解説もしっかり読んで、美術史の流れとか、
時代の特性を直接絵で感じとることができました。
あとの収穫といえば、クレー再発見でしょうか。

これまでクレーってそこまで興味をもてなくて、
ただの綺麗で可愛い幾何学文様としか思ってなかったんです。
クレーの感情や、作風以外の個性が掴めなくて。
でも改めてクレーの絵を直接何枚も観ているとほんとに情感派。
言葉で表せない幸せや皮肉や恐怖がたっぷりつめこまれてます。


ピカソとクレーの生きた時代.jpg
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2009年01月11日

水牛年

「年画で迎えるお正月―ベトナム民間版画展―」@武蔵野市立吉祥寺美術館


ベトナム版画展.jpg



お正月前に行こうと思ったのですが、
足を運んだ日がちょうど年末休業開始日で、
展示のうたい文句通りにお正月に行くこととなりました。
(といっても10日も過ぎて。
 さらに言えばベトナムのお正月は日本の旧正月の時期にあたるので
 ベトナム的には年末ですが)

版画はとにかく可愛い可愛い。
伝承や伝説がモチーフになってるものが多く、魅惑的です。
中国っぽいデザインも多かったですね。
歴史を考えると(とくに古代は)影響が出て然るべきだけど、
でもやっぱりどこか違う。ベトナムのものです。


ベトナムはいとしいものが沢山つまってて
ベトナムってだけで外れない。
むしろ、こちらの掲げたハードルはまだまだ設定が甘いらしく
いつもやすやすと期待を上回って
またベトナムを好きにさせます。


さて丑年のお正月をベトナム版画に囲まれて過ごしたわけですが
ベトナムにも12支があるそうです。
中国の12支は、猪が豚とは知っていましたが、
ベトナムは更にそれにプラスして、
牛(丑)は水牛、虎(寅)は猫、らしいです。
鼠(子)に騙されて猫が入れなかったという伝承は
日本だけなのでしょうかね。


水牛年もよろしくおねがいします。
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2008年08月08日

110回目の誕生日


「Exhibition for the 110th anniversary of Ben Shahn's birth」@丸の内ギャラリー


ベン・シャーン生誕110年記念の展示。
情報提供してくれたジャックさんには心よりの感謝。
日曜日に行ったら休館で、
その後も都合がつかず、最終日にようやく足を運べたのでした。
かなり走りました。


小さなギャラリーなので、すぐに観終わってしまうし
小さなギャラリーなので、人が何人か入ってるだけで狭くなる。
けど小さなギャラリーって、
何故か落ち着いて、ゆっくりしてしまいます。


ここの展示を観にいくのは2回目なのですが、
大きめのベン・シャーン展や
画集でも観れない様な絵(それもやはり小さいのですが)が
展示されていて、新鮮な気分にもなります。
個人蔵のものが多いのでしょうか。

そして展示作品にも値段がつけられていて…
ギャラリーだから仕方ないのかもしれません。
あんまり数字付きでの鑑賞は好きじゃないのですが
でもこうやって個人の手に渡ってしまって
誰かの満足と
誰かの欲求不満がうまれるんだろうな。
いいか悪いかって話ではなくて。


小さなギャラリーだから? 
企画自体のパンフレットや画集というものはありません。
でも参考用にいくつもの画集が置いてあって、
大きい画集も置いてあって、
……欲しいなぁ。
本物を前にして画集に所有欲が出てしまうっていうのも
なんだかへんてこな気がしますが。


とにかく行けて良かったです。
脳と身体が浄化されます。
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2008年06月28日

貧しい絵描き

久々に美術展に行きたくなったので。
映画終わったらすぐ。

「青春のロシア・アヴァンギャルド展」@Bunkamura ザ・ミュージアム


アヴァンギャルドという言葉と比べてギャップがあったのは
きっと私がロシア・アヴァンギャルドを知らなかった
(今もよくわかっていない)ところに原因があったのだとは
思いますが
しかしシャガールの作品はシャガール展かで観たいな、と
感じてしまったり、
どう考えても今回の展示の中では一人浮きまくっていた画家
ピロスマニの作品に最もうきうきしてしまったという点で
あまり自分向きの企画ではなかったのかもしれません。


ピロスマニは、
「百万本のバラ」で歌われる画家のモデルらしいです。
たしかに彼は、想いに対して一直線でしょうな。
(絵がそんな感じです。)

ピロスマニ.jpg
(ニコ・ピロスマニ「宴にようこそ!(居酒屋のための看板)」)
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2008年04月27日

ここのもの

「多摩美術大学美術館所蔵作品」展。


モノレールに乗ってガタンゴトン、多摩美へ。
一回行ったことがあるはずなのですが、
サンリオ・ピューロランドがかなり近くにあるのに驚きました。
美大生にとっては、それは美観として良しなのでしょうか。


今回のお目当てはベン・シャーン。
ベン・シャーンとの出会いを多摩美で果たした私にとっては
ものすごく特別なことでした。
ここで彼の絵を観るのは、実に7年ぶり?のようやく2回目。


やっぱりここで観るベン・シャーンは格別です。
今回はベン・シャーン展ではなく、所蔵品展だったので
展示作品数も左程多くはなかったのですが、
でも、ここだなぁ、と。
人まったくいなくて、貸切状態でしたし。

他の美術館で観るシャーンは、やっぱり社会性が先に
「説明」されがちなのですが、
ここだと絵の魅力がそのまま感じ取れます。
やっぱりこの人の絵が好きです。


7年越しの想いも果て果て、
ようやくここの画集も手に入れることができました。
画集の完成度は、そこまでは高くないけれど、
でも初めて観たときに一目惚れした絵で、
他の画集にはない作品なんぞもここには載ってます。

満足です。
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2008年04月12日

あふりか物語

モディリアーニ展@国立新美術館


まさかの六本木ヒルズに用事、が発生した為、
足を踏み入れることはないだろうと思っていた
もう一箇所へ、さらに。


モジリアニです。
丁度一年くらい前に「モジリアニと妻ジャンヌ」展観たわけですが
今回はモジリアニだけ。




特定の時代や場所、作風からの企画ではなく、
初期から晩年までを追った、いわば編年体の構成。
並べてしまえば「流れ」が自然に出てきてしまうテーマ
ということもあって、
美術館や学芸員の個性が伝わりにくかったのですが
でも、自分であれこれ、恐らく空回りながら考えを巡らせられるので
それはそれで一つの楽しみ方かも、と。


初期の作品を観て、立体の捉え方がうまいんだなーと
思っていたら、やっぱり彫刻家を目指していたとのことで。
立体といえばキュビズム、と
発想としては安直につながっていったのですが
モジリアニの「カリアティッド」は
ピカソやブラックのキュビズムとはどうも毛色が違います。
ただ、両者ともアフリカの影響を受けてるみたいですね。



「あ、ジャンヌ」
妻ジャンヌを描いた作品もちらほらあって、
やっぱり去年のあの展示は人気があったのか
絵の前に立った時、
頭に浮かんだ言葉がそのまま外から聞こえてきました。
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2007年12月01日

ちびとらちゃん

img062.jpg

画像が悪い、上に歪んでてすみません。

ヨゼフ・パレチェク「ちびとらちゃん」新作原画と
ヴィンテージしかけ絵本展@渋谷パルコ

パレチェクさんが初来日、で、トークショーとサイン会も…。
パレチェクさんの作品ちゃんと観たことないのに、
軽軽しく行ってすみません。
しかもサインもらえるつもりですみません。
もちろん、整理券なんて余ってませんでした。


そもそも「ちびとらちゃん」を読んでないのだからね。
原画は原画でかわいいので、楽しめましたが。
あと、チェコのヴィンテージしかけ絵本!
売り物としても置いてあったのですが、予算的に厳しかったので…
「白雪姫」とか、やっぱり買っておけばよかったかなぁ。

パレチェクさんのポストカードセットと、
パレチェクさん画の小学3年生用音楽教科書のみ購入しました。
色彩豊かでかわいい。
チェコのクレヨンて何色入りなんだろう。


展示を見終わって、ポストカードその他を買って、
整理券はなくて、もう用はないはずなのに
パレチェクさんの姿を観るためにみっともなくパルコに残るの図。

近くで、100%ORANGEさんのサイン会もやっていたみたいで
自分がチェコモードになっていなければ寄っていたのだろうなーと
ぼんやり。



でもチェコモードなので。モード派のB型なので。

みっともなく残った甲斐あって、かなり遠目でしたが、
お姿拝見、お声を拝聴できました。
チェコ語はそれだけで音楽みたい。
整理券もないのに人ごみにまぎれて、
ずっといる、その醜さにようやく耐えられなくなったので
すぐ帰りましたが、
「ちびとらちゃん」のチェコ語版絵本が欲しいと思いながら
渋谷の雑踏を過ぎたのでした。
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2007年11月10日

パリ、シャガール

シャガール展@上野の森美術館

ムンク展を出たら、ポスターを見かけたのでついでに。
土中から突然天空へ。蝉より早いかもしれない。


シャガールの絵と、シャガールを写した写真でした。
いい顔をしています。
あんなにもカラフルなのに、絵を描く姿をモノクロ写真で撮られても
まったく自然であらしゃいます。


おそらく、晩年の作品が多かったのじゃないかな。
個人的には、シャガールの奥様は初めの奥様なのですが、
写真に写ってたのは二番目の奥様でした。
はじめの頃のシャガールの絵も観たかったな。


聖書の絵なんぞも描いていましたが、
宗教心というものは前面に出ず。
あくまでも、モチーフとして聖書を扱っているように感じました。
シャガールがもしも敬虔なクリスチャンだったらゴメンナサイですが。
(でも、違うような気がします。どうしても。)


シャガールは好きだから、楽しめたけれど
残念ながらここの美術館が私の好みとは外れてました。
建物も、展示方法も、働く人も…。
いつか、パリでシャガールに会いたいです。
ふわりと浮かぶ、その背景も、
東京タワーよりエッフェル塔でしょ。
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叫びの生命線

ムンク展@国立西洋美術館


いま、一番座ることの多い席に
ムンクの「叫び」(版画バージョン)を貼っている為、
わたしはムンク展に行かねばならぬのだという心持でした。
まぁ、貼ってなくても行ったのですが。


土曜日に美術館。
語呂もよくないし、敬遠してたのですが
平日行けそうにもなかったので土曜日に美術館行ってきました。

でも、画家の知名度のわりには空いてましたね。
残念ながら「叫び」や「思春期」は来ていなかったのですが
そういう事情もあって人ごみにならずに済んだのかもしれません。
あと、雨。
雨の日に美術館、は比較的しっくりきます。


家族の絵が好きでした。
うつ病の妹の絵、結核の姉の絵。
ムンクの版画が好きなので、
もうちょっと版画も置いてくれたらもっと嬉しかったですな。


ムンクの絶望に共感するつもりで行ったのですが、
意外や意外、
ムンクって実は、生命力が強そうだなぁとも考えてしまいました。

土くさくてどん底で、不安で不安で不安なムンクも
もちろん見出せたのですが、
でも、どこかに太いものがある。
不安が彼の生命力の支えとなっていたのかな。
(私にそういうところがあるので、そうだったら嬉しい。)

席につき、そのミステリーの答えを
視線の先のムンクに問いただそうとしても、
彼はいつも目をそらして、叫んでいるだけなのです。

sakebi.jpg
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2007年09月08日

プランクトンとなり

ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展@ラフォーレ原宿

ヤン・シュヴァンクマイエル PREMIUM BOXヤン・シュヴァンクマイエル PREMIUM BOX
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価格 :
[タイトル] ヤン・シュヴァンクマイエル PREMIUM BOX
[出演]
[レーベル] コロムビアミュージックエンタテインメント
[監督] ベ..
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値段が出るとこう、生々しいのですが
先日このプレミアムボックスを衝動買いしてしまったところでして。



人間椅子人間椅子
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 人間椅子
[著者] 江戸川乱歩
[種類] 単行本
[発売日] 2007-08-28
[出版社] エスクアイア マガジン ジャパン

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ヤン挿画の、『人間椅子』。
これは買っていませんが
奇しくも現在、乱歩中な私でして。
(この話、大好き。)


場所が原宿なので、それもラフォーレとかいう建物内なので
行くか行かぬか迷っていたのですが
行ってきました。シュヴァンクマイエル展。


これまで、ヤンはすごい、ヤンはすごい、と
貧相な語彙でもって興奮を言葉にするという、
まこと恥ずかしいことをやっていたのですが
亡きエヴァの絵を観て、
エヴァもすごい!と。
まことに、自分が恥ずかしすぎます。

展示の量も多く、
あと、内容も濃かったです。
まさか彼等に実際に会えるとは……!
これを創っているのだよな
これに囲まれているのだよな
ヤンはまだ生きていて、どこかで。

世界は彼を中心に回っているのかもしれません。
綺麗なものも汚いものもすべて彼の堆肥となって
私はどっかの根腐れで。


かえすがえすも
何故原宿。
こう考えさせることが狙いだったのでしょうか。
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2007年05月03日

モジリアニと妻ジャンヌ


「では、こんなのは、どうかしら。やっぱり、お化けかしら」
 自分は本棚から、モジリアニの画集を出し、焼けた赤道のような肌の、れいの裸婦の像を竹一に見せました。
「すげえなぁ」
 竹一は眼を丸くして感嘆しました。
「地獄の馬みたい」
「やっぱり、お化けかね」
「おれも、こんなお化けの絵が描きたいよ」

--------------------------------------------------

『人間失格』の一節。
太宰のこの文を読んでから、私も心の中では密かに
モディリアーニをモジリアニと呼んでいます。


「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」@渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム


モジリアニは私というよりも
中学の時の美術の先生が好んでいました。
その記憶が強すぎて自分がモジニアニを好きなのかは
はっきりせず、ただ気になる存在ではありました。


モジリアニもジャンヌも、非常に美しい容貌です。
映画俳優のよう。
ジャンヌの16歳(!)のときの写真…
これが、16歳かぁ。
ジャンヌは烈しい人です。
写真から、絵からもそれはわかりますが
何と言っても、モジリアニ病死の直後、
お腹に宿した八ヶ月の子とともに
アパルトマンから投身自殺をしてしまうというエピソードが…。


モジニアニの企画展を初めて観に行けたのも
よかったと思いますが、
それ以上にジャンヌという一人の画家を知れたのが
一番の収穫でした。
時代によって彼女の絵は変化していきますが、
変わらないものもあって、強いのです。
なんだかこの企画展自体、
モジニアニよりもジャンヌのファンを増やす為に
開かれたような気さえしてしまいますよ。


「お化けの絵」を描くモジリアニ。しかしその妻も
「お化けの絵」を描いていました。
最後の絵には誰しもが〈ぎょっ〉とするでしょう。
最後の展示にも誰しも〈ぎょっ〉とするでしょう。
そんな人々の表情も
ジャンヌにはきっとどうでもよく、
彼女の強い眼差しは
モジリアニだけに向けられているのでしょう。
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2007年04月21日

モンパルナスの目の光

「生誕100年 靉光展」@東京国立近代美術館


土日祝日に美術館、というのには抵抗があったのですが、
わりと空いていました。
ややマイナーな画家だからでしょうか。


かくいう私も、靉光は最近知り、
もちろん企画展へ行くのは初めて。
思っていたよりもずっとよかったです。
行く前にみたチラシの印象よりも
行った後にのぞいた画集の印象よりも
現物には圧倒されます。
「眼のある風景」独り占めにはいささか気分が良くなりました。


この人は、きっと、好奇心旺盛なのでしょう。
ライオンも、馬も、牛も、ダリアも、魚も、鳥も、山茶花も、
じっとじーっとじぃーっと、
穴があくほど見つめているのでしょうな。
ぱっと見抽象画っぽいのですが、
真理を究める為に凝視して、存在を解体させているというよりは
見えたまま、興味のままに、
描いて描いて描きまくってるような気がしました。


「生きているものの目っていうのには、光がある。」
小学校の時の図画工作の先生が言っていました。
「眼のある風景」を観に行く電車の中で、
自分にとっての生きているもの、
光のある目とは何だろうと
ぼぉっと考えていました。

「魂の込められているもの」?
ううん、なんだか違う。
「自分が感動できるもの」、
こっちですね。
靉光の絵は生きていました。


久々に、美術館でポストカードが買えるのも嬉し。
絵葉書を出したり貰ったりするのは大好きだから、
遠方に住む友人へ、靉光の視線を送ります。
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2007年02月09日

ブロンズ座

古代ユーラシアの青銅器展@中近東文化センター


どの駅からも微妙に遠い、という恵まれない立地条件に
建てられた中近東文化センターへ、初めて。
近くには基督教大学。
中近東のことをよく理解したクリスチャンが増えればいいのですが。


さてさて、中国や中東、いろんな地域の古代文明に触れてきました。

中国に関しては殷代の青銅器も多々ありまして、
改めて「中国四千年の歴史」を実感しました。
殷代にあれだけ文明が発達していたならば、
やはり夏王朝は伝説ではなく、
存在していたのではないかとも思います。

中国のものに限らずですが、
食器や酒器、武器に至るまで
細かい細かいデザイン、装飾・・・。
馬のくつわまでもです。

中には、
「実用性より装飾性を重視したと思われる」刀もあって、
あの乗っ取るか乗っ取られるか、日々戦いの時代に
そんな余裕があったのか、と驚いてしまいました。
製造者と兵士は必ずしも一致しないんでしょうけれど、でも。


常設展でもレプリカながら、
ヒエログリフや骸骨さんにも会えました。
エジプトの棺(本物)も観れました。
そのスケールの大きさに、
たちまち私は、文明を知らない原始人に戻ってしまうのでした。


濃い文明を覗いた後は、
せっかくだからと、近く(?)にある国立天文台へ。
ひろくて、お散歩にももってこいのところでした。

昔から地学は苦手で、宇宙のメカニズムについては
さっぱり理解できないのですが、
単純に星をみるのは好きです。
星好きにはロマンチストが多いのか、
天文台の建物のデザインも、
なんだか理想がこめられている気がします。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

1.jpg 2.jpg 3.jpg

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ちょっとしたスリルも味わいましたが。

8.jpg
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2006年12月02日

下を向いて歩こう

ポオズ.jpg とはいえ、哀しかったのです。
 ヤンを観れるつもりでした。
 カードをもらえるつもりでした。

 ♪涙がこぼれないように…、と
 上を向いて歩くのは、できなかったのでした。

 で、哀しみすさぶ心のまま、同じく新宿でやっていた
 キン・シオタニ個展「ポオズ」@B GALLERY へ。
 ビームスの6階でした。



相変わらず面白い絵を描くなぁとふんふんと絵を見ていたら、
そこに「この絵はー…」と話しかけてくる人が。
よく見たら、それは、
キン・シオタニさんご本人!


あまりに急なことでびっくりしたのですが、
キンさんはそのままのトーンで長いこと話してくれました。
イラストを手がけている
月見ル君想フ(ライブハウス)のスケジュール表をくれたり、
また、いつかのポエトリーライブの話をしたら
やなちゃんや「たま」の話をしてくれたり。

どうやら知久さんとも仲がいいらしく、
やなちゃんとも知久さんともつながってるのは
俺とワタナベイビーくらいだ、みたいな話も。
そういえばベイビーの曲に、「下を向いて歩こう」っていう
曲がありました。
♪下を向いて歩こう 涙ポロポロこぼして…
♪サイフが落ちているかもしれないし…
サイフどころの騒ぎではないのでした。


買い物をしたら、絵も描いてくれたキンさん。
感謝、感謝…。
話してみてもやっぱり変な人で、
1月の、志の吉さんとのライブも行きたくなりました。

シュヴァンクマイエルの舞台挨拶を観ていたら、
キン・シオタニさんには会えなかったかも。
「運いいねー」と言ってもらえた通り、かどうかは
わかりませんが、
きっと仙人が見捨てずにいてくれたに違いありません。

びっくりしました。
けどすごく、嬉しかったのでした。
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2006年10月12日

モダンの波


ベン・シャーンのことを考えすぎて、
ギャラリーを出た後、道路にあった段差に気付かず
踏み外して、足をぐきっとひねってしまった哀しみを引き摺りつつ、

「モダン・パラダイス」@国立近代美術館 へ。

皇居沿いにぐるっと歩くと辿り着きます。


こっちは「近代美術」という大きなくくりの中で、
近代美術館と大原美術館のコレクションを集めたものなので、
多種多様、さまざまな芸術家の作品が観れました。

近代美術は好き嫌いがぱっきりと分かれるので、
思いっきりスルーの場所と、
じっくりじっとり、溜息混じりに見据える場所と
我ながら差が激しかったです。

萬もいたし、ピカソもいた。
劉生、クレー、ゴーギャン、関根、嗣治、
カンディンスキーに棟方… 巨匠が勢揃い。
ギャラリーとは対照的に、
広い広い会場に大きな大きな絵がでーんでーんと
続いたりするので、
絵の中を泳いでるようでした。
モダンの波をかきわけて。

もちろん知らない人もいたわけですが、
なんだか気になってポストカードも買ってしまったのは
ジャン・フォートリエの「人質」という絵。
この人は大原美術館の方らしいので、
きっともう暫くお逢いできませんね。
写真で我慢します。


常設展や、ギャラリーで併展されていた
「ばらばらになった身体」も堪能。
アートな一日を味わえました。
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竜のおとし子

「見つめる 人間と社会 ベン・シャーンのアトリエ・コレクション」@丸の内ギャラリー

ベン・シャーンの展覧会。
焼け焦げそうな想いをひっさげて、パレスホテルのギャラリーへ。
情報提供者のジャックさんには心から感謝!
(先日、知り合いに連れて行ってもらった古本屋さんで
 ベン・シャーンの画集を見つけることが出来ました。
 私とベンは最近、こうして人に導いてもらっています。涙。)


今回の展示のコンセプトは、
1954年に起こった第五福竜丸事件。
日本の民間漁船が巻き込まれてしまった水爆実験…。
ベンはこれをテーマにした絵(ラッキー・ドラゴンシリーズ)
を描いていました。

ベン・シャーンは「社会派」という言葉で評されているし、
もちろんそんな人間愛を持っていることも絵から滲み出て、
大きな魅力なんでしょうが、
私は、絵そのものがはまってしまうんですよなぁ。
だから真剣に事件のことを考えている人には、
すごく不謹慎に思われるかもしれないけれど、
ベンの絵を見ると、それが痛ましい事件をモチーフとしていても、
絵心にくすぐられて、にまにま笑ってしまいます。


ギャラリーだからとそんなに期待していなかったら、
スペースが狭い割に展示が沢山あって、
見たことのない絵も多かったし、
なかなかどうしてよろしい。

《ラッキー・ドラゴンシリーズ》を集めた絵本(?)が
このたび出版になったようです。
ぱらぱら観ると、こちらも絵が幾枚も、カラーで(!)
収録されていました。
即購入しなかったのは、
実は出版に身内が関わっていたと知ったから。
(贈呈してくれるのを深く深く深く熱く!希望しています。)
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2006年09月21日

ねこになりたい

佐野洋子絵本の世界展@日本橋三越本店

招待券が手に入ったので、久々に展覧会へ。


『100万回生きたねこ』は、
物心つく前から読んでもらっていたかもしれません。
「ねこはサーカスなんてきらいでした。」
「ねこはおんなのこなんてだいきらいでした。」
というふうに、どこかひねくれているのが面白くって、
絵もやわらかそうで可愛くって。

あんまり当たり前に傍にあったから、
二十歳を過ぎて「佐野洋子?名前は知ってる」なんて
言葉を耳にしたときにはかなりショックでした。
まぁ、そんな私も『宝島』や『トム・ソーヤの冒険』などは
未だに読んだことがないという体たらくなのですが。


『おれはねこだぜ』は10を過ぎてから絵本を買いました。
綺麗な声で歌い追いかけるさばと、
ぜえぜえの猫の絵には今でも顔がほころびます。
佐野洋子の絵本のなかではこれが一番すきかな。


ほかにも『ぺこぺこ』、『おじさんのかさ』、
『おぼえていろよおおきな木』などの絵本や、
『右の心臓』や『わたしが妹だったとき』、
『ふつうがえらい』、『嘘ばっか』などの
活字もいくつか読みました。
佐野洋子さんの作品だと思うと、何でも手にとりやすかったです。


今回の展示は、絵本の原画。
『空とぶライオン』や『うまれてきた子ども』
など初めて観る絵にはやっぱり、この人だなぁと
思うものがありました。
佐野さんは子供好きではないだろうし、
母の愛みたいな温かみとは違うのだけれど、
けどこの人はどこか、母親みたいな感じです。
あと、なぜかどこか性的なんですよね。


講演会で「ねこちゃんの話は一切受け付けない」と
言い放ったと聞いたことがありますが、
やっぱりやっぱり、猫みたいです。
猫がのびをしている空気が充満しています。
そんな絵を、私も描けるようになったらな。
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2006年06月10日

はいけい、ミラッドくん。

写真展「メディアは命を救えるか」@明大前キッド・アイラック・アート・ホール

小学生の頃人間不信になったのは、
マスコミが原因でした。

その後も、犯罪心理学に詳しいナントカさんやら、
そういえばあの時からあの人変だった、などと証言する
元同級生やら、
涙を誘うために故人の写真の後ろに大仰で安っぽい音楽を
流すワイドショーやらから、
正常と異常の区別、世間に流される記憶、ヒューマニズムなど
の臭さをかぎとって、
人間社会がしんどくなる一方でした。

けれど、こういう戦争写真は見なければ。
知らなければ。
なるまい。なるまい。なるまい。
そんな風には考えています。
目を反らしても、凝視しなければ、なるまい、と。

写真は既に観たことがあるものが多かったです。
だからといって平然とはしていられませんが。
けれど、賞を撮った写真、雑誌に載った写真、
そういうのには拘らなくていいんじゃないかなとは
感じました。
ピンぼけでもいいです。無名の人の写真でも。
もっとあるはずの事実を、
もっと見なければならないと思います。


現在も続く争いで、
特に中東のニュースは気になります。
ミラッド君を思い出すのです。

ミラッド君というのは私の昔の写真に見られるイラン人の男の子で、
私とミラッド君は保育園の同じ組で、
わけもわからず一緒に遊んでいたようです。
私に記憶力がつく前に、家族でカナダへ移ってしまったといいます。

ミラッド君については、写真の様子と家族からの証言しか
知り得ません。
魚屋さんで魚に手をあわせて「ナムナム」と言っていたとか、
金のネックレスとしていたとか、
たくさんのイラン人と一緒に住んでいたとか、
そのくらいです。

私自身の記憶にはいないけれど、
確かに一緒に遊んでいたミラッド君。
今どこでどうしているのでしょう。
ひょっとしたらまた日本に来ていて、すれ違ってるかもしれません。
まだカナダにいて、英語ペラペラかもしれません。
国に帰っているかもしれません。
戦地に立っているかもしれません。
もう、亡くなってしまったかもしれません。

戦争の被害者の写真を見るたび、
この中にミラッド君がいるのかもしれないと
そんなことも、考えます。

拝啓ミラッド君、
ミラッド君は私のことを覚えていないだろうけれど、
私はミラッド君が気になってしかたありません。
ミラッド君。
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