2009年02月22日

第一アフター

自分が「あ、観たいなー」と思いつつ観れていない映画を先に誰かに観られて(その人はそもそも観たいとは思ってなかったけれどタイミングが合ったというだけで)、「すごく良かったよー」「まだ観てないの?」「観た方がいいよ」と言われるのはとても癪にさわるものでして。

そういう映画のひとつに『しあわせな孤独』という
デンマーク映画があったんですが、
で、今回別にその映画を観たわけではないのですが
(もうちょっとしてから観ました。)
同じ監督さん・主演さんの映画を先に観るはこびとなりました。

スサンネ・ビア監督、マッツ・ミケルセン主演
『アフター・ウェディング』

アフター・ウェディング.jpg


噂どおりマッツはかっこよかったですね。
あと娘さん!可愛すぎます!!
昔の恋人やその旦那さん、娘婿、すべて綺麗なひとなんですがね。
映画に出てくるひとは皆、
ギリシャ彫刻みたいな造形的な美や
フランス人形みたいな柔い魅力とも違うんだけれど
主張しないのにあっさり、でもびっくりするほど綺麗なんです。


映画はとにかく繊細な感情が織り込まれていて、
だからストーリーとしてどういう結末になったとしても
この映画の空気は決して変わらないのだろうなと思わせるものでした。
でもあのインドの子がちょっとかわいそうですが。
誕生日までには帰ってきてほしかった。

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2009年02月15日

無造作紳士

観るのは2回目。
ゲンズブール × バーキンの、『スローガン』

バーキンに電話をかけるセルジュの電話が可愛かったです。シースルー。
あとは指パチンでおなかを消そうとするセルジュや
ふたりの暮らす部屋のクローゼットで遊ぶバーキンは
何となく覚えていて、やっぱり可愛い。フランス!!


これが初めて観た二人の映画だからかもしれないのですが
私の中の二人ってまんまこの映画の通り。
ただ実際のところは、バーキンの為に離婚したり、
それを後で責めたりはしないとは思いますが。

二人の離婚の一因について少し調べたところ、
セルジュの健康についてバーキンが注意したら、
セルジュが暴力を振るうようになった…って書いてあったのですが
この表現は実は微妙で、
セルジュの暴力というよりも
それにバーキンが耐えられなくなったから、
ということじゃないかと思います。
DVを正当化するわけでは絶対にないけれど
やっぱりどうしても中心になる人はいて、
セルジュはそういう人、カリスマっていう存在じゃないかと思うんで。

slogan.jpg
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2009年02月11日

ヴィンセント伯





ヴィンセント・ギャロ監督・主演、
『ブラウン・バニー』

ギャロって存在自体がもう賛否両論な気がしているので
この作品が賛否両論と聞くと、
すとんと理解できる反面、
なんでわざわざギャロの作品を観るかしら、と不思議になります。
知らなくてたまたま出会った映画だったのか、
『バッファロー'66』がハッピーエンドだったから油断していたのか。
でも否をおくったら、もうギャロ自体ダメだと思います。


私も映画としては『バッファロー〜』のが
安心しつつ興奮して観れるのですが
でもギャロの本質というか、撮りたいものはこっちに
詰め込まれているのではないかなぁ。
あんまり映画を観ているという感じでは無くて、
事実ではないギャロのドキュメンタリーを観ている感覚。


DVDで観たんですが、驚いたのが、
チャプターがストーリーと別に、音楽別に分かれていたこと。
確かに音楽も選ばれていて、主役ですが、
そんな作りを見たのは初めてだったのでびっくり。

でもチャプターって、映画ちゃんと観る人にはあんまり要りませんよね。
って、私だけでしょうか。
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2009年02月09日

新発見オールド

オールド・ボーイ.jpg

『オールド・ボーイ』

気づけば韓国映画を3本も続けて観ていました。
こんなことも起こりうる!
この作品が一番面白かったです。

なんとなく公開当時から気にはなっていた映画。
復讐ものというのだけは知っていたんですが、
主人公の復讐劇というよりは、
大きな復讐劇に巻き込まれた主人公、という感じ。
原作は日本のコミックとのことで、
意外な様な納得できる様な。
でも日本で映画化しても絶対こうはならなかったと思います。
もうこれからこういうのは韓国に任せていいんじゃないですかね。
出演者も皆演技が上手でしたし、
脚本も整ってる。


「ラストに衝撃の真実が!」ってくくりのものは
実はラストよりもその前のハラハラ感が強くて、
それで終わってしまうのもの少なくないですが、
これは最後まで衝撃でした。
ストーリー展開としては、
予測できるような範疇だったのかもしれませんが
やっぱり撮り方がうまいから魅きつけられるのでしょうな。
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2009年02月08日

ヒム

ひさびさにオダギリ会。
『悲夢』

一緒に観に行った某女子ブログに
「Cuiさんの映画ブログにいっこうに悲夢の話題が出てこないことからもうかがえますが、Cuiさん的に論じるに値しないんでしょうね、きっと。ああ・・・無理もない。」(ⓒ「不可抗力」)
と書かれてしまったのですが、いいえいいえ、
しねまとくらすは観た映画すべてをレビュー致します。


ただでも、キム・ギドクと期待していたので
確かに残念なことは残念でした。
映像や美術は綺麗なんですけども。
そもそもオダギリが日本語で通じてしまう時点でバランス崩れてしまいます。


オダギリって演技力の人ではないと思うので、
無理に台詞を用意しなくてよいのじゃないかなぁ、と。
あとは吹替えにするとか。





主役の女の子も可愛かったんですが、
映画の中で一番綺麗だと思ったのは牢獄にいた女性。
やっぱりギドク映画は映像が動になってるから、音は静でいい気がする。

ラストは、まんま「胡蝶の夢」で、
うーん、綺麗なんだけど、でも美ってほどのものは感じない。
描きたいものがはっきりしすぎてて、
理想が強すぎていて、
ある意味ロマンチックすぎるから、
脚本とかキャストとか出演者まで細かく吟味した方がよいんだろうな。
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2009年01月25日

ある意味猟奇的な彼女

『4人の食卓』

存在自体知らなかったのですが、DVDで観る機会があったので。
監督やスタッフ、キャストには本当に申し訳ないですが
日本語吹替で鑑賞しました。
でも声優の方が上手だったのか、あんまり気にならなかったです。
フォローになってないですか。


韓国ホラーです。
韓国映画でキム・ギドク以外ってあんまり観ないし
ホラーというジャンルもそんなに積極的には観ないのですが
でも、上手でした。作りが。
映像は綺麗で、カメラワークも◎。
お話は、まぁどきっとしましたが
でも最初の子供二人との関連付けがよくわかりませんでした。


韓国映画はショッキングにショット・シーンを撮る様に感じます。
なんでこんな風に、緊張感あって綺麗な映像と重なると
ホラー、サイコスリラー向きなのかもしれませんね。


なんだかあっさり書いていますが、
思っていたよりもずっと良い作りでしたよ。
DVDパッケージに関しては
主役の男性も写してもらっても良いのでは?という印象ですが。
(この方がメインのサイコホラーであることも確かなのですが。
 あと、この女優さんは日本では他の作品で有名になっていたから
 広告宣伝としてはこっちをメインにしたいのかな。)


4人の食卓.jpg
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2009年01月18日

やさぐれ刑事

やさぐれ:「家」を意味する『やさ(鞘(さや)の倒置語)』と
     『ぐれる』にも通じる「悪い」「外れる」という意味の
     俗語『ぐれはま』の略が合成されたもので、
     家出人や家出という行為をさして江戸時代から使われた。
     後にここから転じ、住居不定者・住所不定者のことも
     やさぐれと呼ぶようになる。
                   (日本語俗語辞書より)

心が荒んでる状態やそういう人を指すのかと思っていたら、
家出人のことだったんですね。
でも映画の中で言っていたのは違ったような。
原田芳雄主演『やさぐれ刑事』


やさぐれ刑事.jpg


映画では、たしか「ぐれ」は「愚連隊」を誰かが指していたような気がします。
「やさぐれだよ。〜の愚連隊だよ。」という台詞があって、
あぁそこから来てたのか!と思ったんですが
正確な語源は違ったんですね。
ちょっとした語呂あわせだったのでしょうか。
「やさ」の対応は忘れてしまいました。
「家探し」だった気もしますが
もう一度観ないと確かなことは言えません。


芳雄ちゃんはまぁやさぐれてますね。
暴れてもそんなに違和感がなくて。
あの人には、安住する家があるという方がむしろ違和感です。


映画はいかにも70年代のバイオレンス映画。
ちょっと劇画っぽい感じもありました。
某映画館が好んで上映しそうな映画。絶対やったことあるだろうな。
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2009年01月17日

化石のシン

化石の森.jpg

篠田正浩監督作品、『化石の森』


カセキノモリ を カセキノシン と読みたくなるのは
岸田森さんが出ているからですね。
ショーケンと岸田森の共演、恐いです。両方恐いです。
「傷だらけの天使」も恐いけれど、
あれは役者が作っている感があったので。
これは作品の中にあの二人が「配置」された結果なわけで
恐ろしすぎます。


私は人間的にできていないので
嫌いだと思った人のことは所作や何気ない一言、趣味趣向、作品
なるべく否定的に捉えようとして
好きだと思った人のことは逆にできる限り肯定したくなります。
この作品は原作が私の嫌いな人で、
監督や役者は好きであるので、評価がしずらくなります。
というかその前に
こんなできていない人間には評価する資格もないかもしれないですが。


ただしかし、この作品はつきつめれば「恐い」の一言。
ショーケンが恐い。森さんはもっと恐い。
(ショーケンはまだ若かったのでやや、ややソフトでした。)
森さんの役って必要だったのかな…。


あと、映画には美しすぎる志麻さんがちらっと出てます。
森さん以上に「必要?」と思ってしまう役で。
篠田さん作品であるというだけの理由の気もします(会社違うし)。
個人的には、志麻さんを篠田さんが映すからには
志麻さんの作品であってもらいたかったですが、
でも綺麗すぎるでしょう。

美容室のマスターをショーケンとともに殺す女性も
医者のエゴによって聴力を失った子の母親も綺麗です。
篠田さんは人間の、何か「届かない」感じの無力な想いと
あと女性を色っぽく映す方ですな。
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2009年01月08日

2008年映画の旅路

年も明けたのに今更ですが(2年連続)、

・初めて観た映画であること
・一監督一作品

を制約にした、年間映画ベスト10、発表します。

oooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo

位置情報『マザー、サン』
    (アレクサンドル・ソクーロフ '97 ドイツ=ロシア )

位置情報『ほら男爵の冒険』
    (カレル・ゼマン '61 チェコスロバキア )


『ルー・サロメ 善悪の彼岸』
    (リリアーナ・カヴァーニ 
         '77 イタリア=フランス=西ドイツ )


『ゆけゆけ二度目の処女』
    (若松孝二 '69 日本)


『詩人の血』
    (ジャン・コクトー '30 フランス)

『田園に死す』
    (寺山修司 '74 日本)

『近松物語』
    (溝口健二 '54 日本)

『告白的女優論』
    (吉田喜重 '71 日本)

『墨東綺譚』
    (豊田四郎 '60 日本)

『近頃なぜかチャールストン』
    (岡本喜八 '81 日本)

oooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo

2008年はいい映画が多すぎて、大いに悩みました!
いつもここに発表するときは、
特別良かった映画は旗印+太字、
とても良かった映画は太字 にしてるんですが
今年は全て太字にしたいくらい。
旗印の作品については、
人生の一本としてカウントされます。

2008年はあんまり映画観にいけなかったかと思ったら
2007年より多くて、102本、くらい。
前半たくさん行ったんだろうな。

しかしここまで豊作な年もそんなないだろうなぁ。
これに関しては世の不況は関係ないんで
今年も豊作を現実的に期待します。

リストラされて派遣村の村民になって
映画が観れなくなってしまう可能性も無きにしもあらずですが…。


今年もしねまとくらします。
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2009年01月07日

アニメーション・タロウ

090107_201802.jpg

映画を観に渋谷へ。
井の頭線の方へ向かったのは久々だったらしく
今頃太郎に初お目見えでした。しかも忘れてて、不意の遭遇。驚き。
(怒らないでねremuさん。)

太郎その人や、
作品では彫刻等、立体物には興味があったのですが、
絵には実はそんなに関心をもってませんでした。
でもやっぱり生で観ると大迫力で、なんか妙に気になっちゃう。
こんど記念館に行かなきゃなぁ。


さて映画を観にいったのです。
『チェコ人形アニメの巨匠たち』
テーマがテーマだけにもちろんすぐ気になっていたけど
でもこれはドキュメンタリーなんですよ。
それなのに行くことを熱望してたのは
むしろ同時上映の『りんごのお姫様』目当て。
ごめんなさーい。


チェコアニメをある程度観たことのある人でないと
そんなに楽しめないかもですね。
そもそもチェコアニメ好きの為に作られた作品でしょうからね。これ。
中でもトルンカファン、
熱烈で観れる作品全部観たわ!って人ではなくて、
いくつかトルンカの作品を観て、あぁいいなぁーと感じてた人には
嬉しいかもしれません。
あとポヤルも前面に出てました。
イジー・バルタは作品よりも先に作者を観てしまいましたが
自分のこと普通と思っていそうなヤバイ人でしたな。


やっぱりドキュメンタリーなんで映像のつなぎで満足はできませんし
チェコアニメが題材のわりにはナレーションが多いですが
チェコ語はかわいいし、
引用も多くしてくれたから嫌気は出なかったです。


『りんごのお姫様』、久々に観たけれどやっぱりすごい。
あの魔女や鳥がね…。
王子、指輪で簡単にだまされすぎです。


あとバルタの作品。
絵の具や墨みたいなやわらかさが実写とあいまって不気味です。
さびてはがれた様な感もあって

やっぱりアートアニメーターって変態ぞろいですよね。
太郎も画家というよりはこっちに近いのかも。
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2009年01月03日

人の不幸は


『蜜の味』
映画です。
イギリスの60年代の、白黒の。


酒飲み・男好きの母親との暮らしからの脱却を望む少女の話。
って書くとなんだか重々しいですが、
軽くはないものの、カラリとした作品でしたよ。
女の子、言いたいことは全部口に出しますしね…。


ストーリーとか心理描写もわりと丁寧で、好感のもてる映画です。
でもそれと並行して、
映像ってやつはそこに何かをうつしだすものだから、
観てる側はうつしだされているそのものにも
興味をもってしまうのですよ。

イギリスの路地とか、靴屋のショーウィンドーとか、
引越先のアパートとか、子供たちの花火とか、赤ん坊人形とか。
どのシーンでも、たとえ適当に選んでも、
そこにうつしだされる何かが気になってしまう映画です。
愛おし。
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2009年01月02日

小犬を連れた貴婦人

『黒い瞳』
存在自体は知っていたのですが、ロシア映画だと思ってました。
(イタリア映画だったんですね。)


超有名なロシア民謡を題名に持ってきてるところからして
黒い瞳に熱烈に恋する(恋をしていた)男の話、
そしてイタリア映画だというからには
相手の女性がロシア人、
というところまでは一気に予想ができますが
それにしても、もっと堅いというか、
文芸的な作品かと思っていたら、イタリアらしく陽気でした。


「黒い瞳」ですが
むしろ私は話のキーワードとしているサバチカ、小犬から
チェーホフの「小犬を連れた貴婦人」を思い起こしました。
…子犬だけですが。ロシアでひっかけると。


奥さんとの生活とか
そこから逃げ出したくなる場面とか
休暇とか
ロシア女性との出会いと別れとか
家に帰ってからも続く恋慕とか
再会とか
筋自体に(ややベタともとれるかもしれませんが)起伏があるのに
どの場面もさらりと通り過ぎていきましたね。
その辺りの、映画全体のあらすじを他者に話しているところに
最も時間を割いていた様な。

それはそれで面白いともとれるし、
それはそれでラストを盛りたてる伏線にもなってます。
ただやっぱりもうちょっとしっかりしていた方が好みでしたな。


「イタリアらしく陽気」と書いておいてなんですが、
この監督は本当にイタリア人なんでしょうかね?
外国人のイメージするイタリア人って感じがしたので
その点では括弧つきの「イタリアらしい」映画でした。




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2009年01月01日

美の総統

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします。

映画もよろしくおねがいします。
お正月にはやっぱり映画。
候孝賢ではなく、ジャン・コクトーです。
『双頭の鷲』


絶対の美学を期待してましたが
これまで観たコクトー映画の中でもドラマ性が先に立つ作品でした。
でもやっぱりお城とか装飾品とか、
偽物が無い感じ。


あの王と瓜二つの男は『美女と野獣』に出た人と一緒?
少し年をとってましたね。
コクトーは人間の一番美しい時期にしか
興味が無いのかと思ってました。



余談。前から思ってるんですケードー、
このアマゾンアフィリエイトの画像が
出たり出なかったりっていうのが個人的に気に入りません!
コクトーだったら許してないですよ。
(その前にブログなんてやらないと思いますケードー。)



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2008年12月30日

成瀬の領域

2008年もお世話になりました。
ラストは映画です。

成瀬巳喜男監督作品、『はたらく一家』

実は成瀬映画をちゃんと観るのは初でした。
成瀬の映画には、形容のしがたい「成瀬っぽさ」がある様感じられて
その「っぽさ」に少し尻ごみしていたところがあります。

「舞姫」「めし」「妻」「あにいもうと」「流れる」
「女が階段を上る時」「妻として女として」「娘・妻・母」…
タイトルを並べただけでも感じる成瀬臭。
女性を感じるというだけではなくて、
その女性に何か意味が付けられている感じです。
ジェンダーというところにいっているのか、社会性を帯びているのか、
何かを訴えているのか、
そこまでは観ていないからわからないのですが、
どうも成瀬っぽい。


で、今回は成瀬を一回一本ちゃんと観てみようという気持ちと、
すこし「っぽさ」が薄い気がして観やすいかなと考えたのと、
短い作品の様だったので最初に入るにはいいかなと考えたのとで
なんとも情けない決意での年の暮れです。


働けど働けど貧しい一家の話。
うだつのあがらない日常を出ようと、
長男は学校へ通うことを決意するが、
家は長男ひとりの働き手が欠けても苦しい状況。


観終わって…
嫌なところは別段ないのですが、やっぱり「成瀬だ」と
思ってしまう何かがありました。
女性の映画では無いのに。
立場での苦悩、というところがそうなのかな。

成瀬作品を好きだとはやっぱり言えないのですが、
でも成瀬は成瀬で、批評すらできない程、どこか不可触な領域。
観る前と、あまり変わらない成瀬への視線。



しかし映画自体は、なんだか現代に通じるテーマですね。
「このままじゃいけない」けど、
このまま、が崩れると一気に全てが終わってしまいそうで
動くに動けない、逃げられない、というのが。
重なりすぎて怖いです。
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2008年12月27日

てんやわんや


吉村公三郎監督、新藤兼人脚本『家庭の事情』

なんと12月初映画です… 27日にして!
映画館のタダ券が余っていなければ0本もあったかもしれません。


定年退職した男(やもめ)が退職金250万を娘と分割。
それぞれの50万の使い道や、出会いを描くホームドラマ。

キャストが豪華でしたね。
長女に若尾文子、次女に叶順子。
男優陣も田宮二郎、船越英二、川崎敬三…。

若尾さんはハッキリとした性格だったんで違和感はなかったです。
もうちょっとガツンとしても良かった気もしますが。
船越さんとのシーンがもうちょっとあってもよかった気がします。
(それにしても船越さん、出番少ないのに存在感強いですね…。)


次女を裏切る恋人役として田宮さん。
田宮さんはなんだかシリアスな役者というイメージだったので、
あんな軟派な役もやっていたのだとびっくり。
わりとしっくりしてました。


三女の婚約相手となる川崎さんは、出てて嬉しかったです。
船越さんが出る映画に出てもらえると。
何故かここのカップルだけは、
二人のシーンが殆どなくても気にならなかったです。
あのビールつぐシーンだけで充分。


四女の相手として川口浩さんが出ています。
私は川口さん自体はそんなでもないのですが、
でもこれまでの「青春」「好青年」「純粋」みたいな役よりも
このくらいロクデナシの役の方が合ってるのではないかな。


あと父親の愛人として出てきた飲み屋の女性が魅力的でした。
中田康子さん。
きっと洋服よりも和装が似合うのだろうな。可愛い!


新藤脚本なんでテンポもよかったです。
役者の間合いも適切だったのでしょうが。
あとは遠藤専務(小沢栄太郎さん)の食事シーンが強烈…。
思っていたよりも楽しめた作品でした。
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2008年11月30日

どぶ



新藤兼人監督、『どぶ』


乙羽さんがここまで前面に出ているのは
やっぱり新藤監督だから。
絶大な信頼がおかれていますね。
頭の弱い女・ツルと、「かっぱ沼」に住む人々との交流。


宇野さんはあんまりああいう貧乏青年は似合わないなぁ。
殿山さんはぴったりですけどね。
珍しく宇野さんよりも、
かっぱ沼に住む元役者さん(信欣三さん)に色気を感じました。
ツルに最初に挨拶してくれる人。


相変わらず、脚本や映像のつなぎが音楽的。
ツルが生い立ちを話す場面や、逆上する場面は特に。


「弁天様」の迎えの場面は切なくて綺麗です。
迎えがこない日のツルの表情も。
ストーリーはまとまりすぎな感もあったけれど、
新藤監督だから嫌味がないです。
いい映画です。
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2008年11月25日

慕情

実相寺昭雄監督作品、『あさき夢みし』





あらすじは「とはずがたり」。
全巻読んでいた海野つなみさんの漫画「後宮」と
原本が同じだった為、理解はし易かったです。
ただ、二条が映画だと四条、御室も阿闍梨という名前でした。

海野さんは海野さんで、感情を描く人なので
実兼様も策略家ではありますが切ない恋慕を抱く
優しい人として出てきていましたが
映画だと一番信用できない男になってましたね。
吾子が実兼の子を産み落とすときも
漫画だと状況的に困らせない様に
自分の嫡子として迎えている感じでしたが、
映画だと完全に政治的。

原作は吾子の日記なんで、
何かが書かれていてもいなくても
それは吾子目線でしかありません。
他人の気持ちが実際どうなのかがわからないのは
今も昔も同じですね。


撮り方はもちろん上手くて、光と影が恐ろしく幻影的でしたが
いつものやりすぎ感は少なくて、
あと「女性を撮ってる」というのが違和感で、
私は「京都買います」や「曼荼羅」の方が好きでしたなぁ。



阿闍梨(御室)役は岸田森さん。丸坊主。
これが「傷だらけの天使」のあの衝撃シーンに繋がるのか…。

ご自身が下記の様にインタビューで仰ってた通り、
実相寺さんて「男性を撮る」イメージが強かったんです。
だから「女性を撮ってる」感じがした本作は
それだけでびっくりしてました。
ただ、それでも森さんは強く描かれてましたね。
それこそ片思いを。
一方的なところが出てました。


- - -: 実相寺さんのことば :- - -

「僕は撮る時は実際、岸田さんに託して物を撮ってるというか、
 男性優位だって言われるんだけど、
 男性のロマン、思い、
 男性の片思いだけで撮ってるようなところがあるからね。
 男はいつも良い役で、女はオブジェみたいなもんだって
 よく女房なんかにも言われたけど。
 岸田さんにはなんかこう、
 ほんとにいい役を割り振りたくなるところがあって、
 実際そうしているし、
 そういう意味では男が何かを仮託させようと思わせる雰囲気が
 岸田さんにはあるのかもしれない。」
              (「不死蝶 岸田森」より)

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2008年11月22日

江戸川と女

加藤泰監督作品、
『江戸川乱歩の陰獣』

陰獣.bmp

原作は読んだことがあったんですが、
トリックについては抜けてたところもあったから
ストーリーにもそれなりにひっぱられたかな。
ただお話自体が乱歩の中でもそこまで好きな方ではなかったんで
どうしても完璧!とは思えませんでしたが。


カメラが面白かったです。加藤監督作品は初めて観たのだったかな。
最初の仏像のシーンからして既に、妙。

映画館では女優の香山美子さん特集というくくりで
上映していたのですが
やっぱり綺麗な方でしたー。
あと野際陽子さんが出ていて…
綺麗さに加えて英語の発音の良さ!それだけで色気が。

他にも倍賞美津子さんや加賀まりこさん、
菅井きんさんも出ていましたね…。
どなたもちょっとしか出ていませんでしたが。なんて贅沢。
というわけでなんとも女性を感じる映画でした。
監督が女性好きなのかな。
(乱歩自体もそうかもしれませんが。)
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2008年11月15日

光の画家

『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』
『愛おしき隣人』

どちらもロイ・アンダーソン監督作品です。

彼の作品は『散歩する惑星』が気になっていて
でも観れていなかったので
ここで二本も観る機会ができて、嬉しかったです。

『スウェーディッシュ〜』は
ピュアというか、
主人公二人は決して完璧ではないんだけども
どうしたって観ていて綺麗だなと思える作品でした。
光や音楽の入り方も緻密。
レンブラントとかフェルメールの絵を思い出しました。
スウェーデンの冷たい空気も伝わるから、
オランダっぽいというのとはまた違うけれど。

それと、何故か「綺麗」だけでは終われない奇妙さがある。
女の子の父親が男の子に「知っているもの」を問いただすシーンや、
ラストのパーティーなんか異様です。「ズレ」がある。
こういうところが後の作品にどんどん引き継がれたんだろうな。

女の子が美人すぎて
ちょっと眩暈を覚えました。

純愛日記.jpg



『愛おしき〜』の方がきっと『散歩する惑星』と
わかりやすく似ているのだと思います。
「間」が柱になってる。
でもやっぱり
空気が綺麗なところは『スウェーディッシュ〜』から同じですね。
ロイ・アンダーソンはめちゃくちゃ真面目な人で、
それなりに傷ついている人の様な気がする。

チラシやDVDのパッケージにもなっている
あの「結婚式」は、手放しではないけれど観ていて可愛くて幸せ。

愛おしき隣人.jpg
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2008年11月02日

酔夢




侯孝賢監督作品、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』


侯孝賢監督はロケーションの映画を撮るという印象が強くて、
強すぎてその考えに埋まって決め込んでいたのですが、
セットの映画も撮っていたんですね。
勝手にこちらが作り上げた「らしさ」からは遠ざかってますが
これまで観た侯孝賢映画の中では一番くらっときました。
『百年恋歌』のルーツも観たような気がします。


羽田さんが出ていたとは知りませんでした。
言われても暫く気がつかなかったです。でも綺麗でしたよ。
トニー・レオンの食事シーンにうっとり。
この映画に出てくる人たちは皆食べ方が綺麗だったんですが
それでもトニーを観てとろんとします。

徹底した、「一シーン」。
カメラが全く切り替わらないのです。
ゆったりと流れる映像。
「切り」がないというのは役者さんも緊張しただろうな。
でも一つが本当の流れになっているというのは、
セットや衣装の雅さに加え更に優美な世界を作りだしています。
お酒やお香、阿片の臭いまで嗅ぎとれてしまいそうな…。


頭の中を少し静かにして、散らかっててもとりあえず一休み。
酔いを感じながら眠ってしまいましょう。
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