2009年06月27日

はざま

キェシロフスキ特集その2
『地下道』『初恋』


待ちに待ってたはずの特集なのに
しかも今回のこの作品は上映自体が貴重だっていうのに、
なぜか半分くらい眠ってしまった愚かな人間です。私は。
さめざめと泣き暮らします。


まだドキュメンタリーを撮っていた時代のキェシロフスキの作品。
『初恋』は(かなり演出が加えられた)ドキュメンタリーとのことでしたが
ドキュメンタリーといっても普段ぱっと想像する様なドキュメンタリーではないし
『地下道』だって、シネマというには抑揚があんまりない、
不可思議な空間が映し出されていました。
だからこその眠気だったのかもしれませんが、
もうちょっとちゃんと起きて観るべきだったな…。
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2009年06月21日

トリコロール

一気です。


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キェシロフスキの『トリコロール』は常に心のどこかでひっかかっている映画でした。
まだキェシロフスキの名前を知るずっと前から、この三部作の存在に何かをつっかけられていて
キェシロフスキの作品を観る様になってからは
一層観てみたい気持ちが強くなったのですが、
どうも一本ずつ、ぶつ切りに観ることには抵抗があって。
結果として、特集上映を機に
普段あんまりやらない「一日に三本」を敢行したのでした。


なんでこんなに目の奥がツンとする様な映画を作るのかな。
ストーリーがどうというわけじゃなくて、
最初の1カットからずっと切ないものがこびりついてます。


青は、ジュリエット・ビノシュが綺麗でした。
はじめの方の、病院で薬を盗むシーンが痛々しくて、それだけに綺麗。
青は深いだけ綺麗な色です。

白は、どちらかというと男性がメインの話で意外でした。
女性がどちらかというと小悪魔的でしたからね。
男性の、執念ともとれる一途な想いはきっと白すぎるからだけど
それが結果として無垢なものになるかは別なのかもしれない。
駅で知り合う陰気な友人がハモニカで吹いてた曲が
ノルシュテインのアニメで聞き覚えのある曲で
なんだか嬉しかったです。

赤は、ものすごく感覚に訴える作品でした。
電話を盗み聞きする老人の話す昔話と、
今起こっている電話の会話とがリンクするのもそうですが、
ラストシーンで予感させる、あの男性とあの女性の関係。
ひろいひろい作品です。三作品の中では一番好き。
それでもやっぱり三つで観たい気持ちは、観終わってからも変わりませんが。


観ても尚、ひっかかる映画。
でもこれを観れただけでも、今年は良い年だったかもしれないな。
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2009年06月13日

愚鈍な獣

remuさんと映画。『鈍獣』
夜は血の繋がりの集いにまで参加させてもらいました。



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殺しても死なない男、という情報だけ持って映画館へ。
オカルトなのかミステリなのか、と思ってたら
本当に「鈍すぎる」というだけで死なない男・凸やん(デコヤン)の話でした。
途中で話が核心めいた方向にぐらりと旋回したときに
ありもしない「真相」まで勝手に頭の中でつくりあげてしまいましたが
まぁそれも全く関係ありませんでした。
あのアイスクリームおじさんがキーパーソンかと思ってしまってたのです。


全篇コメディタッチになってるけど、考えてみたら酷い話です。
幼馴染に殺され続ける話ですからね…。
でも北村一輝さんの壊れっぷりがどうしてもコメディにさせます。
また、凸やんが生還して野辺を疾走するときにつくられる鳥の文字
「ガンバレ デコヤン」も微妙すぎて笑えました。
あとはJERO。なんでJERO。やたらにJERO。



remuさん曰く、remuさんもワタシも鈍いらしいです。
鈍いかなぁ。そうかなぁ。
(少なくともremuさんは違うと思うのですが。)

どっちにしても、
鈍くなくちゃやってられないときもあるし、
鈍いととりかえしのつかないことになってることもあるしで
もっと大らかにいきたいです。
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2009年06月08日

下下下の妙

キム・ギヨン監督の古め映画『下女』

映画館チラシの異様な写真から興味をもちました。
こういうカットがあるならば、全体もきっと面白いんだろうな、と。
ていうよりも、このカットを観るためだけにでも行きたいな、と。

下女.jpg


写真もタイトルも、なんだか不気味で得体の知れない感じです。
前に、フリッツ・ラングの作品についても「得体が知れない」と
書いたと思いますが、
ラングともちょっと違う。

ラングのが、紳士的なのに得体が知れない、
っていう上流的なのに対して
こっちのが、まんま泥臭くて得体が知れない、
お化け屋敷みたいな埋立地みたいな、
怨念的で地下的な得体の知れなさに思えます。
でも、どっちもインテリ風なところはありますけど。


ある裕福で幸福な家庭の主人が、下女と関係を持ったがために
生まれていく悲劇… と、ストーリーを言葉で書くと薄っぺらですが
冒頭の女生徒の自殺とか、その友人とか
妻の怒り狂う様とか、そしてそしてまさかまさかのラストとか
不条理を感じるくらいの展開が脳をぐらぐらにさせて、
ストーリーのスピードとは関係なく、めまぐるしい作品です。
なのに何だか観た後に「うわー、すごかった!よかった!」と
力が湧いてくる感じ。


さて、これを観に行った映画館は『10話』を観たとこなんですが
実は普段そこまで頻繁に行くわけではなくて、
この時期たまたま良い条件が揃って行ったわけです。
チラシ自体も偶然手にして、いろいろ観たかったのですが
この作品を選んだのだってほんとにたまたま、
この作品を観に行ったのですが、なんと友人ジャックさんに遭遇。
驚く私にのたまうに、「私は、Cuiも来ると思ってたけどね。」
作品の不気味さにあいまって、
ジャックさんエスパー説まで浮上です。
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2009年06月06日

人間狩り

中平康監督、長門裕之主演、『人間狩り』


時効目前の事件の「犯人」を追う刑事の話。
この「犯人」がただの悪人であれば勧善懲悪の話になるんですが
そうでない場合、善良な市民で、偶発的に事件が起こってしまった場合、の話なので
少し難しくなります。
またこの刑事(幼少時代に家族を殺された、犯罪被害者)の想い人が
自分が過去に捕まえた容疑者の恋人だっていうところも絡み合って
悪とは何か? 許すとはどういうことか?
まで発展する、ほんとに社会派な作品でした。

モダンの代名詞みたいな中平監督ですが、
実はこういう作品もいくつか撮っている様ですね。

個人的に、長門さんは人の良いろくでなしみたいな役が合う方だと思うので、
他の人でも成り立ったかなと思います。
長門さんが合わないというわけではないんですが
でも観るとしたらやっぱり明るい長門さんが観たくて。

犯人役の大坂志郎さんはほんとに善人ぽくて魅力的でした。
中原早苗さんがまた親想いの
「明るくていいお嬢さん」な感じが合う人なので、
壊したくなくなってしまう、平穏な家族がしっかりと見えてきます。
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2009年06月05日

10話

アッバス・キアロスタミ監督の『10話』

10話.jpg


公開当時も、その後いくつかあったキアロスタミ特集でも
なぜだか観に行くタイミングを逸していたのですが
はじめからずっとずっと観たかった映画。
この日も実は観に行けなくなる可能性がかなり濃く出ていたのですが
この日映画を選ぶことは、週明け月曜日までの精神的な平穏を
自ら壊すこともわかっていたのですが
長年の想いを優先して、走りました。

タクシー運転手の女性と、
その車に乗り込む人々。
たまに女性が助手席に座ったりしますが
基本的には乗客のみが固定カメラで映されて、
室内での会話や、その表情だけが絶えずクローズアップされています。


この映画を観て、現代イランの女性の地位や権利について…
というのは、もちろん考えられる人はいるんでしょうが、
私はそこまで社会的なものとしては捕えませんでした。
ある程度の規制がある国だから出てくる言葉や状況もあるけれど
悩む姿自体は現代にもイランにも特定されない様な気がして。

難しいことを考えようとすればいくらでも考えられる映画で
また考えたくなってしまう映画でもあるんですが
それでもやっぱり、
最後まで残るのはあの固定された枠の中でのカットで
ものすごく視覚的なものです。
視覚が映像を捕えてるんではなくて、
映像に視覚を捕えられている感じ。
キアロスタミはどうしてこんなことができるのかな。
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2009年06月03日

博打に負けたんだろ

『丹下左膳餘話 百萬両の壺』


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山中貞雄監督の作品。観るの二回目なんですが。

これを初めて見た年は年末発表のベストテンにこれを入れてなかったんですね。
それが二回目になって怒涛の自己叱咤に繋がるのでした。
こんなにも、こんなにも面白いのに!
撮り方も音楽もモダンで軽快で、
役や役者はこんなにもチャーミングなのに!
一回目、不覚にも途中で少し眠ったからといって
この作品の魅力はどのシーンでも途絶えてないでしょうよ。

武士とその妻との壺探しをめぐるやりとりや
左膳と的屋のおかみさんとの子供をめぐるやりとり、
壺をかかえて歩き回る子供と、周りの状況とのめぐりめぐりが
テンポもよくてものすごく小気味いい。

なんでベストテン入れなかったかな…。
悔しくて唸っても、
子供はわらってくれないし、
左膳は声をかけてくれません。
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2009年05月24日

四季の愛欲

『四季の愛欲』

これも中平監督の作品だったのですが、やっぱり面白かった!です。
愛欲というとなんだかいかがわしくて重苦しい風に聞こえますが
もっとファッショナブルというか、とにかくセンスがちりばめられてて
それでいて重鎮な役者さんがしっかりと端をおさえてくれています。


あらすじというよりは、
あちこちと繋がりあってる人間関係で話が進んでいきます、
この人とあの人が繋がってて、
一方であの人はあっちの人とも繋がってて、
こっちでこういう動きがあったからあっちではこうひねる…
そしてその繋がりは、単純に人間関係の設定だけじゃなくて
同じ場所・部屋で違う人たちの話が動きあったりと
映画としての「観せ方」からも感じとれる様になってます。
感性を刺激してくれる映画。


四季の愛欲.jpg


山田五十鈴さんがとびきり素敵でした。
熟女の色気というのですかね。
あと、ちょっと意志の面だらしない感じが魅力的に出ていて、
つい観ている顔の筋肉も緩んでしまいます。
ラストシーンがこれまた、絶妙の間でもっておかしい。

そして宇野重吉さん。
宇野さんは桂木洋子さん(不貞を働く)の旦那さん役だったのですが
「桃子はわるい妻でした」と高い声でか細く詫びる妻を
とてつもなく寛大で、純粋なこころで許してくれます。
この映画で一番「いいひと」の役でした。心は鷲掴みに。


若い人では、中原早苗さんが可愛かったです。
特に洗濯してるとこ。
お母さん(山田五十鈴さん)を
呆れながらも心配してる優しい子でした。
兄さんにはちょっと厳しめでしたが。

あとは、桂木洋子さん。
そもそもちょっと気になる女優さんでしたので。
『密会』(あれも中平監督でしたね。)でも、やや心の弱い
よろめきさんで、桂木さんそのものにそういうイメージがあります。
それが何故だか私にはちっとも嫌に感じられないんです。
役者さんとして好き、というよりは
人間として興味があるのかもしれません。
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2009年05月06日

猟人日記

猟人日記.jpg

『猟人日記』
これも中平康監督・仲谷昇主演です。


この作品に関しては、中平監督や仲谷さんを知る前から
作品個体として「観たい!」と思っていたものでした。
あらすじ自体が面白そうで。
観たら、本当に面白かったです。あらすじが。きっと原作が。
そして映画のスタッフ・キャストによって
さらに面白くなっている様で
大満足!な映画でした。


夜な夜な孤独な女性を狩る男がつける猟人日記。
いつしか、過去に仕留めた女たちがつぎつぎと殺されることに気づく。
そしてある日、獲物の女を尋ねると
そこには女の死体が…。
という作品。
でももっともっともっと深くて緻密で、
観てるうちにどんどんとひきこまれます。


ここでも仲谷さんと稲野さんの揃いが見られるんですが
やっぱり素晴らしいですわ。
しかし、仲谷さんは何故にフランス人のふりをするのでしょうかね…。
そして何故に女性陣はあっさり信じてしまうんでしょうかね…。
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2009年05月05日

砂の上の植物群

『砂の上の植物群』
これも中平康監督です。
吉行淳之介の小説が原作。


砂の上の植物群.jpg


とことんモダンなデザイナーかと思いきや
こういう観念的で比喩めいた映像も撮れる方なんだぁ、と。
冒頭から、クレーの絵を赤い絵の具でもってその調和をぶちこわして、
小説の書き出しで頭をかきまぜて、
モノクロなのにそこだけ暗い床屋での会話、
姉妹との出会い、
もはやデザインではない、
夢のような漠とした世界がつくられていきます。


主演が仲谷昇さんでして、これがまた映像にぴったりきています。
怪しさが全開なのに、まだ何か隠されている様で
一向に正体が掴めません。
あと姉妹も両方とも美人さんでした。
仲谷昇さんと稲野和子さん(姉役)の揃いは妖気がしゅうしゅうとしています。
妹役の西尾三枝子さんも、
あの「真っ赤な口紅」のところ、ほんとに綺麗です。
モノクロ映画なのに、最初のクレーの絵のぶちこわし効果もあってか
映像では黒い「赤」が、毒々しい深紅に見えてきます。


観たあとには何かしらのトラウマが植えつけられてしまうような気がする。
そんな映画です。
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2009年05月03日

誘惑

中平監督特集へ。
今回は『誘惑』

誘惑.jpg



写真とタイトルから、じっとりした映画かと思っていたら
ずいぶんとカラリとした青春コメディでした。
若き芸術家たち(といっても「お金になる」なんて随分と現実的な意志をもっている方々もいますが)
のコミカルな青春群像劇とでもいいましょうか。


左幸子さんが可愛。きゅうりパック・・・!
あとお父様のやっている洋品店で働いている女の人(写真↑)が綺麗。
お化粧する前から綺麗ですよー。
きつねのおばさまも「いかにも」なおばさまで愉快。
左幸子のあとにお茶の教室横の廊下を
同じパターンで走るコケティッシュな若者は中原早苗さんでしたかな?
(このへんの軽快でユニークな動きはさすが中平監督です。)


ほんの少しだけですが、岡本太郎と東郷青児も本人役で出てます。
やっぱりすごいな中平監督は…。


しかし皆様すぐに人をコロリと好きになってしまうのね。
「誘惑」をするのじゃなくて、それを待っているかの様です。
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2009年05月02日

月曜日のユカ


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『月曜日のユカ』

中平康監督の特集だったんですが
中平監督のモダンな画や音楽と加賀まりこさんの魅力がぴったりでしたね。
ただ、ぴったりだろうなと観る前からわかってたので、
過剰な期待をしすぎた感もありましたが。
いやでも加賀まりこさんはほんとに可愛い。
可愛い女優さんはたくさんいるし、
優劣はつけられないけれど、
観ていて、「お人形さん!!」という感想をもつのは
加賀まりこさんだけです。


もっとずっと自由奔放なユカを想像していたので
「月曜日のユカ」が示す彼女の在り方はちょっと意外でした。
でも月曜日のユカの格好がまたなんとも可愛い。
あれをファッションとして着て許されるのも
加賀まりこさんだけだなぁ。


で、加賀まりこさんの恋人役が
中尾彬さん(ネジネジ前)なんですが…
結構熱い純情な青年として現れるのですが…
でもどうしてこの人は若い頃こんなに怪しいのでしょうかね。
うさんくさくて絶対に信用したくないタイプ。
ネジネジの今の方が自然に見えます。
別にネジネジが無いから不自然てわけじゃないですよ。
でもあんな風に、普通の青年とし出てくると違和感が。


なんだかモダンな空気が似合いすぎていたが為に
いちばんモダンだったオープニングが最も魅力的でした。
あとユカの鼻歌。
フィルムとして映える方ですよねぇ…。


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2009年04月05日

のこぎり引きの慶


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『武士道残酷物語』

師を仰ぎ忠誠を尽くしたが為に周囲を不幸にしていく
哀しくも恐ろしい運命を辿る一族の話を
中村錦之助さんが7代にわたって演じ切るという
意欲的な作品なのですが

いや話も本当にきちっと作られていて、
武士道の愚かしい残酷さに
観ているこっちの方もえぐられる心が痛むのですが

音楽もジャジーでかっこいいし、
ベルリン国際映画祭で金熊賞とったというのも
なんかわかる気がするのですが


でもこの映画はすべて、
ひとつのエピソードに出てきた残酷な家臣、慶様にあるのではと。
主人公は苦悩しながら忠義を通して不幸になっていくのですが
慶様は忠義なんてさらさら無くて、
ナチュラルに、ただ慶様というだけで反旗を翻した百姓どもへ
「のこぎり引きの刑がよろしいかと」
って薄ら笑い(もちろん表情の筋肉は一切動かさない)ながら
殿様に提案できちゃうのではないかと。


加害者と被害者が成り立つとき、他のすべてのひとが
加担や同情を感じている、というのではなくて、
直接の加害者として君臨してはいないけれど
すべてを意のままに壊してしまう人が他にいる、
その図式がつくられることで
残酷は更に精度を増している様です。
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2009年03月28日

そばにうどん

『チーム・バチスタの栄光』
存在は知っていたのだけれど、ストーリーについての予備知識は全然。
なので脚本の思うがままに、安易に
「あーそうなんだー」「こういう展開なんだー」と
思ってはひっかかりひっかかり観ていました。


バチスタ手術の映像が結構生々しくて、
その意味だと思っていたよりもちょっと見づらかったです。
もっと気楽な感じの映画かと。

展開はわりと面白かったのですが、
映画としては、もうちょっと一人一人の人物描写を
きっちりやってほしかった感がありました。
なんだか展開だけでするする進んでいってしまってたので、
原作の方が面白いかもなぁ、と。
でも阿部寛が
「蕎麦をおかずに饂飩を食ってる」(逆だったかも)という場面は
妙に印象的でしたが。

主役と言うか、バチスタ手術の執刀医役の人の顔を
どこかで観たことがある、誰だっけ、と
劇中ずっと気にしていたら、エンドロールで吉川晃司の名前。
「あー!」って、
映画の犯人わかったときよりスッキリしてしまったのでした。



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2009年03月27日

ハレとケ


『25日 最初の日』
『キツネとウサギ』
『アオサギとツル』
『霧の中のハリネズミ』
『話の話』



今年もユーリの特集へ。

『ケルジェネツの戦い』がやらなかったんですね。

自分にとってアニメってものすごく特別な位置にあるって最近感じました。
だから日常としてあんまり関わってほしくない部分があるというか
いや日常として目にとびこむアニメに
魅力的なものがあんまりないのかもしれません。
だからテレビでアニメやってても、
そこで止まって観るというのがあまりできなくて、
映画館(好きなところでなくては×)へ行ったり
DVDを買ったり借りたり、
そうして自分から近づくスタイルになりつつあります。


その辺の感覚って、
もしかしたらユーリの存在で出てきたものかもしれませんね。
ユーリやユーリのアニメはいろんなところで紹介される機会が増えたけれど
昔はそれを望むところが多少はあったかもしれないけど
いまは、毎年足を運んでいるこの映画館でしか
ユーリの作品を観たくなくなってきています。


また来年も逢おうね、ユーリ。
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2009年03月22日

Eesti Vabariik

今日、へんてこな夢をみました。

デンマーク人を前にして、
「前にデンマークの映画を観てたら、
 主人公がホテルの部屋を借りる際、
 "天気がよければスウェーデンも見えます"
 って説明を受けるシーンがあったんだけど
 デンマークとスウェーデンて、日本でいえば
 "天気がよければ富士山も見えます"っていうくらい気軽というか、
 身近というか、国境感のないところなの?」と質問。

するとデンマーク人の青年は悲しい顔をしながら固まってしまいました。
そして隣にいた私の友人の女の子を経由して、
フランス語で何かを必死に伝えようとします。
それはどこかの国名のようで、
女の子の方もそれが日本語でいうどこなのかを
必死で思い出しているようでした。
ひとりだけ答えの出るのを待っている私は堪えかねて
適当に「ハンガリー?」と口を挟みます。
適当とは言えど、自分の中では
どこかドイツ臭のある国を挙げています。
デンマークにそんなイメージを持っていたので。
女の子は「あぁ、近い気がする。そういう感じ」と一言。

デンマーク人の青年は、
悲しい顔をしながらもう帰りたそうにしていました。(完)



そんな夢から覚めた朝、私が感じたのは
「エストニアだったかなぁ。」ということです。
デンマーク人の彼が私の質問を受けて
何故国の名前を伝えようとしたかは不明ですが、
でもあの国がどこだったかを知りたかったです。


さてさて、長い前置き。
エストニアのアニメ特集へ行ったのでした。
これに行かなかったら、
きっとエストニアの名前は一生出てこなかったでしょう。


エストニアのアニメ特集へ。
上映作品は

『ネイル』 
『ハビング・ソウル』 
『キャベツヘッド』
『戦争』
『カメラマン“コップス”イン・マッシュルームランド』


いやきっと半分くらい寝てしまったのですが。


私が人や国に対してドイツのイメージを少しでも重ねるときは
歴史というよりは、その国自身に
どこか暗かったり、精神的に衰弱していたり、
強い論理が残っていたり、あくまで知的だったり
そういうものを感じているときです。
(あくまで個人的なイメージとして。)
エストニアアニメもそうでした。
『ネイル』や『ハビング・ソウル』なんて特に。

夢に出てきたデンマーク人の青年の悲しい顔が
エストニアアニメを観たあとの心境にだぶります。
彼が伝えたかったことはわかりませんが
彼から伝わったのはヨーロッパの中の、
そんなちょっと荒涼とした感じです。
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2009年03月21日

O'HORTEN

『ホルテンさんのはじめての冒険』

ホルテンさん.jpg



『キッチン・ストーリー』と同じ監督さんの作品でした。

「まじめな運転士ホルテンさんが定年退職の日に初の遅刻をしてしまったことから始まる予期せぬ出来事の数々…」
的なストーリーが事前に知らされていたものの、
遅刻って正直関係があったのだかなかったのだか。
船を売る売らない、ってとこもしつこく追われていなくて
そんな気の抜けた感じもいい味になってるのだと思います。
ホルテンさんを引きとめる子供がかわいかったなぁ。


北欧の映画、とくにノルウェー、フィンランドの映画は
とにかく静かに、ほんわかしたりひっそりしたり
中に茶目っ気が潜んでいたり
そういうところが好きです。
そのへんの匙加減が上手だし、映像もデザイン的で綺麗だから
この監督さんの作品は安心して観ていられるなぁ。
もっとテーマ色うすくてもよかった気もしますが。

三連休の中日というのがぴったりくる映画でした。
時間の流れが制約されていない感じの日にぴったりの映画。
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2009年03月15日

リンチでミンチ

ジャックさんと映画。久々。
デビッド・リンチ監督特集へ足を運びました。
『イレイザーヘッド』
『ダムランド』


『エレファントマン』だけでもちょっとしたグロテスクさは感じていたし
評判から、それ以上に奇怪な作品を撮る人だとは予感してましたが
いやでも、ほんとに気持ち悪かったです。
あそこまでえぐい作品もそんなに多くないとは思うのですが
それでもリンチは商業的に成功してるようでもあって
世の中ってよくわからないです。


両方とも、イメージしていたリンチ世界でした。
個人的に頭の中がぐちゃぐちゃな状態だったこともあり、
『イレイザー〜』は映画で出てくる畸形児と、逃避された世界と、
妄想と、たまに戻って襲いかかってくる現実と、
きれぎれのまぜこぜになりすぎてミンチになりました。

イレイザーヘッド.jpg



『タムランド』はアニメだからと若干の油断がまたアダとなって
アニメだからこそのショックが。
(第一話と第六話っていうセレクトの仕方もちょっと気になりましたが…。)


リンチ映画って『エレファントマン』くらいしか観たことがなくて
引き換えジャックさんは確か10年くらい前からいくつも観ていたと思います。
だからというだけではなく
私の中でリンチの名前を聞くとジャックさんを思い出してしまいます。
共通項は、作品や趣向は確実にグロテスクなところにいっているはずなのに
その生臭さとは裏腹に何故かとことん清潔感があるってとこでしょうか。

世の中ってよくわからないです。
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2009年03月14日

しあわせな孤独

ようやく観れました…。

しあわせな孤独.jpg


『しあわせな孤独』

これまで観たふたつはとにかくとにかく繊細さが強かったんですが
これは更にガーン!とくる色気がありました。
マッツがセクシーだからとか、
ヨアヒム役の人がゲバラ似だからとか
セシル役の人が可愛いからとか、そんなことだけじゃなくて。
なぜかもう全体的に。


オープニングのレストランからしてやばいですね。
暫く続くヨアヒムとセシリの甘いシーンだけでも相当くらくらしますよ。

「セシルさんにピザ二枚」あたりから、
はしゃぎまくる家具選び、そしてスーパーでの電話までは
マッツ・ミケルセンが別の眩みを引き起こします。
マッツが出るとヨアヒムの出演シーンは
(物語の展開上)徐々に減ってしまうのですが
どのシーンにもヨアヒムが残っている感。
ただそれでもこの映画はマッツが基軸な気がします。


特別好きだというわけではないですが
最初の音楽の歌詞もずっとひっかかってます。
「100からのカウントダウン
 でもすべては数えない
 不吉な数はとばすの」 て感じの詞。

「私は奇数に怯え
 偶数に解放される」 … みたいに続いていったと思います。

不吉な数はでも、とばしても、
嫌な予感は的中しちゃうものですけどね。
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2009年03月01日

誕生日までに

スサンネ・ビア監督作品その2
『ある愛の風景』

またしても『しあわせな孤独』ではないんですが。

ある愛の風景.jpg


こないだ観た作品(『アフター・ウェディング』)はドキュメンタリーっぽい感じがありましたが
今回はちょっとサスペンスちっく。
ストーリーがというわけじゃなくて、映像が。

予告だけ見ると、弟の話が強いのかなぁと思うところですが
あくまでも兄と、奥さんのお話ですね。
もちろん弟の心情も丁寧に綴られてますが、
いちばんに撮りたいものをぶらさない監督さんだなぁと。


ただ、展開上アフガニスタンがちょっと悪く描かれてたのだけひっかかりましたが。設定上とはいえ、国の名前まで出さなくてよかったのではないかなと思ったり思わなかったり。でもきっと国名がアメリカだったらそんなこと考えないだろうなと気づいてみたり気づかないふりしたり。


『アフター・ウェディング』とおんなじで、
「誕生日までには帰ってくる?」って
やっぱり子供が聞きました。
実際お祝いは本格的に行われます。
デンマークの子どもはきっと誕生日まちわびなんだろうな。
大人もそうかもしれない。
北欧てそういうところであってほしいです。
posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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