2009年11月08日

イムジン河 水清く


時期が時期だっただけに、館内の音楽は一色に染まっていました。
映画館スタッフも含め、全員の頭の中には同じ言葉が浮かんでいたでしょう。
追悼・加藤和彦さん。

ザ・フォーク・クルセダーズ主演であり
彼らの同名曲を冠した渚作品、『帰ってきたヨッパライ』



帰って来たヨッパライ [DVD]

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曲の人気にあやかろうとして持ちかけられたであろうこの企画、
他の監督に頼んでいたら、きっと歌詞をそのままなぞるだけの作品になっていたのではないかと。
渚監督に頼もうと決めた方には敬意をはらいます。


冒頭に「途中で最初のシーンに戻る場面がありますが、これは監督の意向です」
といった但し書きが表れるのですが
「わざわざそんなこと書かなくても…」などと侮るなかれ、
これ、本当にびっくりします。随分長いこと同じ場面が続くので…。

殿山さんがさらりと「たばこ屋のおばさん」として登場するのですが
何故そこで性別を変える必要があったのか。
なぜ、なぜ…。
そして二回目の登場で、何故一回目に別の方がやっていた役まで殿山さんが演じているのか。
なぜ、なぜ…。
もう、どこからつっこんでいいのかわかりません。

慶様は韓国人として出るのですが、韓国人ということよりも何よりも、
学生という設定にボディブロー。
この作品については、悪人度がどうとか、そういう尺度では測れません。
ここまで映画と慶様を自由にできる渚監督の世界に、ただただ唖然とするばかりです。


ショートヘアの緑魔子さんも可愛。とびきり可愛。
美人は何をやっても似合いますな。


作品として朝鮮(韓国)が絡むので、
「帰ってきたヨッパライ」よりは「イムジン河」を喚起させました。
「あなたは日本人ですか」「いいえ韓国人です」「それは何故ですか」「韓国人だからです。」
繰り返される街頭インタビュー。
ラストの、車窓から見える処刑シーンなど、印象的な場面が多いです。


ザ・フォーク・クルセダーズの三人は、まだどこか少年ぽさが残っていて
その青さが作品に酸味を与えているようでした。
この時代の若者は、どんな思想を持っているかに関係なく、
共通してこんな酸味を持っている様に感じます。

♪イムジン河 水清く とうとうと流る …
楽器も持たず、三人でうたう「イムジン河」のハーモニーの綺麗なこと。

♪誰が祖国を 二つに分けてしまったの 誰が祖国を 分けてしまったの …
他にも功績は多いのだとは思いますが、
私はやっぱり「イムジン河」が日本にひろがって良かったと思います。


イムジン河

イムジン河

  • アーティスト: ザ・フォーク・クルセダーズ,朴世永,サトウハチロー,松山猛,青木望,ありたあきら
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  • 発売日: 2002/03/21
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祇園の暗殺者


『祇園の暗殺者』
正直なところ、殆ど期待を持たずに観に行ったのですが
これが面白かった!です。
序盤、少し眠ってしまったことが強く悔やまれます。
もうすぐまた観にいける機会があるので、リベンジに燃える2010年10月です。
(もう一年近く経っているのですね…。)

カメラがとにかくかっこよいです。
最後の逃げるところなんて、胸が高鳴りました。くぅー。
主役の殿方も素敵でした。近衛十四郎様。


それに今回の慶様特集の中でも、
慶様度がきちんと高い作品であった様にも感じられます。
自分の手は汚さず、人情よりも憎しみを優先する慶様。

キャスティングとしては、「めくら狼」役の方がちょっと微妙だったかな。
あとはストーリーも、撮り方も大満足です。
あんまり知られていない作品だとは思うのですが、いい作品はちゃんとあるんだなぁ。
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来世番外地


慶様特集つづき。『やくざ番外地』

丹波哲郎さん主演。
余談ですが、高校のとき、通学路に丹波さんのオフィス(?)、
「来世研究所」があった関係で、どうも丹波さんが身近に感じられます。
来世や霊界の観念は身近に感じませんが。
一度だけ、研究所の前に車を止め中に入っていく丹波さんを観たというのが
丹波さん亡き今となっては、妙に色濃い思い出です。


さて丹波さん、主役のくせにものすごく嫌な役だった様に記憶してます。
設定としてというより、主観として、なんでしょうけれど。
そして慶様は、またしても善玉でした。今特集上何度目でしょう。
ここまでくるともう、当時慶様に善玉の役をやらせる様に
どこかから圧力がかかっていたとしか思えません。


『関東破門状』とキャストが似てましたね。
主演が違うので意図的なのかどうかはわかりませんが。
どちらもやくざもの・慶様善玉ものですし。

人情を絡めたやくざものの場合、やくざまわりの女性(今作の場合は慶様の奥さん)が
殺されてしまうというのは一種のお決まりなのですかね。
そして殺されてしまう女性はやっぱり今回も妊娠中なわけで。
自分が女性だからかもしれませんが、あんまりいい気分はしないですよな。

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2009年11月07日

人間


慶様特集つづき。
新藤兼人監督作品、『人間』


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新藤監督の存在を知ったのはわりと最近(3年くらい前)なんですが
特集上映のチラシで、「あぁ慶様がいくつか出ている」という着目で
作品の一覧を眺めていたからか
どうもこの『人間』と、あと『鬼婆』が自分の中ではセットになってます。
とは言え、『人間』は観たことなかったのですが。

今回の慶様特集では、どちらの作品も組み込まれていたのですが
予定が合わず、『鬼婆』の方は観に行けませんでした。


難破してしまった船、海神丸に乗った人々が
飢えと死の恐怖に苛まれながら、次第に「人間」を捨てていく様子が
衝撃的に、でもリアルに描かれてます。

慶様と乙羽さんの辿っていくところは、
ある意味で人間性を失っている様にも思えるけれど
でもあの独りよがりで、残忍なところがやっぱり人間なんじゃないかなぁとも
思えるところがあります。
「ヒューマニズム」って言葉を人間が勝手に作って
まるで人間が動物とは違う様に区切られてしまっているけれど、
人間も動物ですしね。
ただ、最後の最後のシーンに、
新藤さんの精一杯の人間への信頼が描かれているのだと思いますが。


ええと、全然、綺麗じゃないです。
慶様のギラギラした男臭さとエゴが、すごい勢いで滲み出してきていて
乙羽さんの生き続けたいっていう欲望が、湿りきった状態でじっとりと船の底に漂ってます。
殿山さんみたいな人は、ほんとはいないんじゃないかとも思う。
でもなんでだか、絶望する映画ではないんです。
いざという時には、慶様たちの様になるかもしれないと思いながらも
そこに嫌悪を抱くからかもしれない。
これがあるから、ラストシーンは実はいらないのかもしれないけど
あれを撮るのが新藤さんなんだろうな。高潔だから。


役者さんはもう言わずもがな!
あと、音楽もいいです。
まさかこのモダンな音楽が、この映画のものだったとは!
全てがパチっとはまっている、すごい作品です。
慶様のおなかと天然パーマがどうしても気になるところですが…。
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赤のチェック


『銭のとれる男』

昼はレーサー、夜はトランぺッターとして名を馳せる男(田宮二郎さん)の
没落と再起を描く作品だったのですが…
作りとしてはちょっと薄かったですね。


これも慶様特集のくくりだったので、慶様が出ているのですが、
その役所がなんとバンマスピアニスト。
しかもやくざ界に身を置くわけでもなし、ただただ純粋に善玉。

稀代の悪人・慶様にこの役を当てはめるとは、
一体だれが、どんな動機でもって提案し
どのような経緯で決定に至ったのか、
時間の許す限り関係者から根掘り葉掘り聞き出したいところなのですが
そんな機会は得られないので、敢えてその疑問には長居しません。
ただそれよりもなによりも、声を大にして言いたいのは
赤いチェックのステージ衣装、それも紐タイ(!)の慶様が兎にも角にも恐ろしすぎる!!


若い頃の江波さんが出ていました。
誰かに振り回される若い娘さんだった頃の江波さんも可愛らしいですが、
やっぱり江波さんは年をとってからの方が格段に魅力的ですね。

あと主演が田宮さん。
冒頭ではそりゃ生意気な役だったのが、
没落した頃ガソリンスタンドで出会い世話になった心優しい娘さんのおかげで
改心していきます。
個人的にはどちらも今一つだったかな。
田宮さんも(慶様とは分野が異なりますが)もっと悪い人間か
愛嬌100%の役所を演じている方が好きです。


それにしても赤いチェックの慶様は恐かった。
これに尽きます。

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処刑と志麻


慶様特集つづき。
『処刑の島』
篠田正浩監督作品です。


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ええと、偏見なのでしょうが、脚本家によって右翼的に観えてしまいました。
荒れすさぶ島の情景とか
三國連太郎さんの、これ素ではないだろうかと思わせる残虐非道・暴力性とか
慶様の陰湿な感じのいでたちとか
それぞれ、いい意味での恐ろしさというか、
篠田さんの演出力もみえるのですが、
どうも必要以上に右翼的に観えてしまい
そういうときってどうも、
いい作品と思いきれないんです。篠田さんは好きなのですけど。
やっぱり、篠田さんならばもっと女性(志麻さん)に視点があたった作品がいいなぁ。


でもこれも篠田×志麻の、黄金の組み合わせ作品ではあります!
志麻さんは珍しく髪をおかっぱにして、とんでもなく可愛らしかった。
世にも恐ろしい三國さんの娘役。


普段は慶様が世界一恐ろしいわけですが
この作品では三國さんの恐ろしさが圧倒的でした。
三國さんと鞭とか、三國さんと斧とかって、どうしてあんなに似合うんですかね。

慶様は少し小さな役で。
でもまぁあのサングラスな慶様もそりゃあ背筋ぞくっとしましたが。
志麻さんが慶様たちから逃げるとき、慶様側を通ろうとしたの見て
思わず席を立ちあがって制止したくなりましたが。


あ、『どぶ』で興味をもった信欣三さんが教師役で出ていました。
この教師の立場というのをクローズアップすると、
人間の脆弱性がもろに出て、別のテーマが浮き彫りになってきます。
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2009年11月03日

集団奉行所破り


久々に(久々すぎるくらいに)ブログを更新しようとしたら、
SeeSaaがいつの間にか衣替えをしていた様で、
編集ページへのログイン方法探しに2分ほど迷子となってしまいました。
少し時間ができてきたので、これからは(なるべく)ちゃんと更新します…。


慶様特集つづき。
『集団奉行所破り』
これ、最初に観に行こうとした日には自転車がパンクして間に合わず、
二回目も間に合うかどうか本当に危うく、
映画館までの道を全力疾走してようやく上映開始ぎりぎりのところに
入れたのです。
走らなければいけない、とわかったときには
もう観るのを諦めようかとも考えたのですが
あきらめなくてよかった。


かつての盗賊仲間が集まって、
処刑された恩人の七回忌法事を開くべく
奉行所に眠っている秘密文書と金を狙う、というストーリーなのですが
時代アクションというよりはコミカルな面が強いかな。
盗賊たちがひとりひとり愛嬌があって、楽しく観れます。
むかしの時代劇ってキャラクターづくりがほんとに上手ですね。
人間が魅力的に描かれているので、途中で人情譚が混じっても押しつけがましくないし。
モノクロ作品なのに、とにかく豊かです。


さて、(当然の如く二枚目役として)里見浩太朗さん(以下、助さん)が出ているのですが
もうあのお方の色気は一体どういう構造になっているんでしょうかね。
役者は皆が魅力的だし、
助さんのやっていた役以上に、他の役の人物設定の方が
哀愁的だったり、ウィットに富んでいたりして深みが出ている部分もあったのですが
どういうわけだか助さんは、ご本人から匂い立つあの色気だけでもって
二の線を妙に際立たせているんです。


慶様は、盗賊たちの恩人である商人のもと番頭、
奉行所に寝返って地位を手に入れた、云わば「慶様的」な登場をするのですが
途中でまさかの転回をみせ、
それが物語をひねる要素にもなっています。
慶様的なるものから非慶様的なるものへの転回なので、
慶様を期待しているこちらにとっては、
拷問をかけられた上、
娘の身の危険を示唆されたところで「私はどうなってもー」と言うのは
なんだかピンとこないのですが。
でも慶様のやった役の設定も含めて、作品としてはよくできてます。


脚本もきれいでした。言葉が。
いまは関西弁て、どうもずけずけとした印象が先にきてしまいますが
使い方によってはこんなにも上品な軽妙さがあらわれるのだな。


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2009年11月01日

悪の葬祭

慶様の訃報がありました。2010/05/02が命日になるそうです。

電車の中で慶様の顔をみたときの衝撃。
ただ、実感が湧かなさすぎて悲しみはまだやってこないです。
というか信じられなくて。
きっとこれも慶様がやってのけた何かの策略で、
どこかで何かを企んで、操って、誰かを陥れているのだろうと。
もしくは名実ともに悪の総裁として君臨したのだろうと。
そんな気がして、結局恐れおののくしかないんです。


さて時は2009年11月に遡り、慶様特集その6
『わが命の唄 艶歌』


いや申し訳ないけれど、これ、つまらなかったです…
今回の記事を追悼とするつもりもないのですが、
何だかこのタイミングで出演作をけなすのも申し訳ない。
もっと下手な作りの映画だってあるだろうし、
特別嫌いなキャストというわけでもないのですが
どうも肌に合わず、観ている間中いらだちが。


嫌いというわけではないけれど、
渡哲也さんと松原智恵子さんというのがあまり得意じゃないのと
それを抜きにしたところで、
面白みというものが一切感じられませんでした…。
映画冒頭で自殺前の芦川さんが言い放った
「あなたには、サムシングエルスがあるのよ。」といった台詞も、
別の映画や監督であればそのナンセンスな言葉が
逆に面白かったりするのですが
それも楽しめず。

ストーリーもぐにゃぐにゃだし、
話の要素になっている女の死、転職、レコードの売上、
業界の摩擦、歌の力やマスコミ、
人生やロマンス、復讐…すべて中途半端。

見どころは慶様のいやらしい煙草の呑みっぷりと、
「ぼくがきっと幸せにしてあげる」といった
慶様の口からはありえないプロポーズと、
「横文字ばっかでわからん!」と抗議する人々へ
顔色ひとつ変えずに言い放つ
「だったら日本語で言おう、帰れ!」
の場面でしょうか。


この作品はどうも歌手のタイアップを含んでいるらしく
水前寺清子さんと団次郎さんがそれぞれ歌手役として登場し
歌唱シーンが何度も何度も流れていました。
「帰ってきたウルトラマン」で
熱血MAT隊員である郷(ウルトラマン)を演じていた
団さんの歌そして振付には衝撃が。
(もともとこっちが先なのだとは思いますが。)


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2009年10月25日

慶様とメロドラマ

慶様特集その5
『白い南風』


この作品、今回の慶様特集の中で一番の問題作ではないかと、
勝手に思ってました。
なんたってチラシに「メロドラマ」って書かれていたのですからね!
メロ!メロドラマ!慶様が!!
と、非常に気になっていたわけです。

画像などが見つからないのでソフト化もされていないのでしょう。
だって慶様のメロドラマですもんね…

と、観る前からどきどきしていたのですが、
蓋を開けてみると…
…いつもの慶様でした。
そしてドラマは、全然メロドラマではありませんでした…。


池内淳子さん主演です。
大学教授の父親のもとにいる二人の学生。
ひとりは人格者で、池内さんとも(お互い片想いという形で)
両想いなのですが、別で婚約話が出ていて
もうひとり(慶様)は野心家で、教授のイスを狙う為に
池内さんに近づいていきます。


で、あれやこれやすれ違いやらがあって
池内さんが慶様の子を宿してしまうわけです。
しかし教授のイスが(池内さんの父親に嫌われている為)
絶望的と知るや否や、すべてを放棄し、
親の手前池内さんと婚約しながらも、
ひたすら冷たい態度や言葉で池内さんを責めたてる慶様。
そして一切反省の色を見せない慶様。
なぜか西村さんにまで非道をつくす慶様!
…ひどすぎます。


映画全体を通して「良い人」はいなかった様に思えます。
なので池内さんはひたすら不幸に陥っていくのですが
それでもやっぱりそれは慶様によって引き起こされた不幸で、
「悪人」と呼べるのも慶様だけでした。


慶様はやせて、まだ若くて、
自らの手で池内さんを苦しめていましたが
しかしこれからどんどんと悪人度を増していく、
その要素は充分感じとれました。
将来、悪の総帥へと成長していく慶様が観れる。
メロではないけど、やっぱり問題作です、これ。
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悪名幟


悪名 DVD-BOX・第二巻

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慶様特集その4
『悪名幟』

勝新×田宮二郎の「悪名」シリーズのひとつらしいです。
任侠モノとは違うのかな?
どちらにせよ、お天道様の下を歩けない、
裏稼業に身を置く人々の話。


慶様は賭場の取締り役をやっている人だったのですが
義理人情を大事にする勝新や元締めに反発して
個人的にミヤコ蝶々さん演じる女社長を脅します。

今回は悪玉でしたが、
どちらかというと自分で動いたり、小手先のごまかしをする悪玉
だったので、
やっぱり少しイメージが違ったかな。
もっと、悪の総帥という方が似合うのですが。


しかし最後、勝新と慶様の乱闘シーンはすさまじかったですね。
乱闘というよりも勝新によるリンチに近いのですが、
ぼっこぼっこにされて、
ガスに顔押しつけられたりする慶様…。衝撃です。
勝新だからこそできたのでしょうが。


シリーズものということもあり、ややコミカルなところもありました。
勝新もですが、コミカルな田宮さんというのは魅力いっぱいですね。
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HDL

慶様特集その3
『関東破門状』


任侠モノがそこまで好きでないというのと
石原軍団がそこまで好きでないというのとで
個人的にはそんなに楽しめなかったです。

恐らく、渡さんが主演の「いかにも」といった感じのヤクザ映画が
苦手なんです。
仲間を大事にして戦いを選んで、そのために女を悲しませて、
そして小さくない代償(仲間や女の死)の果てに、悪に勝つ、
最後は夕日または都会の雑踏の中で傷ついた渡さん一人…!
みたいな流れが。
あとサイドストーリーで、
ヤクザの下っ端とその恋人の悲劇みたいなのもあったりするのが…。


慶様は珍しく善玉でした。
あんな良い人の慶様を観るのは初めてで、逆に怖かったです。
ただ慶様は良い人・悪い人に関わらず
いつでも切れ者というか、
腕と頭の両方を持っている人として出てくることが多いですね。

今回も、最終的に慶様は殺されてしまうんですが
その前に、敵の襲来を正座して待ってるんです。
襖開けたら慶様が一人、正座…。
たじろぐ敵。
そしてたった一人で十三人くらい斬ってしまう慶様。
善玉でもやっぱり恐ろしいですね。
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2009年10月18日

大悪党


大悪党 [DVD]

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慶様特集その2。
増村保造監督、『大悪党』


ある女学生がヤクザに騙されて身売りされる。
女が助けを求めたのは、ヤクザよりも極悪な
悪徳弁護士だった…

…というストーリーを聞いた上でキャストを見比べると、
女学生は緑魔子として、
ヤクザが田宮二郎さん、弁護士が慶様、というイメージでしたが
実際は田宮さんと慶様の役は逆転していました。
正義とされた権力の中で非道の限りを尽くすというのが
慶様にぴったりのイメージだったのに。



緑魔子はほんとにほんとに可愛い。
イメージからしてただの純情な女学生では無いので、
もともとの設定は少し食い違っている様にも感じましたが
慶様が「上玉」と観るには
やはり魔子さんくらいじゃないといけないのでしょうね。
演技とはいえ慶様にネクタイで打ちつけられたり、
腰を蹴り飛ばされたりするのに耐えられるのも
魔子さんくらいなのでしょうね。
逆に慶様の首をネクタイで絞めて殺してしまうのも
やっぱり魔子さんだからこそできたのでしょうね。

あと、写真や映画フィルムにしたときの魅力というのも
すさまじいものがあります。
増村監督とも合っている気がする。
緑魔子ファンは必見です。


田宮さんは思ってたよりも
"悪党"という感じではありませんでした。ラストが特に。
もちろん善人ではないし、優しいとまでも言えないのですが
映画で出てきたヤクザよりも弁護士よりも、
もっとずっと悪党の姿を観たことがあるので。慶様で…。


慶様は…
もっと悪党です。本当は。
慶様がボーリング場にいるという時点で逃げ出したくなります。
声かけられて一緒にボーリングなんてありえません。
その後一緒に飲みになんて絶対行きません。
捕まったら最後、逃げ出すこと・生き延びることの希望は失います。
だって慶様なので…。

田宮さん指示・緑魔子供述内で
慶様がヤクザの「親分」にへつらうシーンがあるのですが
ああいうのも無いですよね…。


ただイメージとは違いましたが、
作品としてはとても面白かったです。
話の流れと撮り方というのかな。
だれかと一緒に観るよりは、
ひとりで観てから、観たことあるひとと「面白かったねー」って言いたい映画です。
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『無理心中 日本の夏』


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ついに始まってしまった慶様特集。
ありそうでなかった慶様特集。
信頼できる映画館で組まれたので、
その分楽しみで恐れおののいた慶様特集。
映画館のある街を歩く度に特大の慶様ポスターに震えあがった慶様特集…。

幕はさすがのセレクトで、大島渚監督作品からあがったのですが、
いやーやっぱり怖かったですね、慶様。
慶様の男臭いところが出てました。恐ろしかったです。
死にたがる短パン姿の慶様…。
死ぬことしか考えていない短パン姿の慶様…。

作品は、渚監督らしく映像にテンポがあって、
台詞には虚無感と、
ぽつり、ぽつりとただ下へ下へ落とされていく万有引力が。
慶様のいでたちと低い声はそんな渚監督作品に合っている気がするんです。
落ちていくけど無くならないで、
低いところで漂ってる。そのうち下から充満していく。


田村正和さんが若すぎて、観終わってからもよくわかりませんでした。
殿山さんは殿山さん。かわいいです。
戸浦さんは… すごいですね、何ですかあのギラギラ感…。


あの白人に皆が何かを叶えたかったのかな。
渚作品らしく、わけわからないけど、
わけわからないなりに何か感じさせます、渚は。
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2009年10月10日

手を

「チェコアニメ傑作選」。

『パットとマット/クロスワードパズル』 (ベネシュ)
『樫の葉が落ちるまで』 (ボスピーシロヴァー)
『手』 (トルンカ)
『ライオンと歌』 (ポヤル)
『棺の家』 (シュヴァンクマイエル)
『ぼくらと遊ぼう!おかゆの話』 (ポヤル+シュテェパーネク)


チェコアニメ特集。毎年どこかでやってくれて嬉しい。


さて今回は、シュヴァンクマイエルの大好きな作品や
ポヤルの詩的な、抒情歌的なおとぎ話や
にぎやかな「ぼくらと遊ぼう!」シリーズや
それぞれ充分に楽しめたのですが、
やっぱり特筆すべきは『手』でした。
イジー・トルンカの遺作。


トルンカは『真夏の夜の夢』
を最初に観て、一気にファンになったのですが
作品はあんまり観れていなくて。
『手』の存在も、たしか年明けに観たチェコアニメのドキュメンタリーで知って、
あぁ、観たいなぁ、とぼんやり思っていた程度でした。


けどこの作品は、思っていたよりもはるかにショッキング。
正体不明の「手」によって「手」の彫像を作ることを強いられる男。
何度拒否をしても、「手」は執拗に執拗に男に命じていきます。


言うまでもなく、かなり強い社会風刺をもっている作品。
「手」というと、
手のぬくもり、とか
手と手をあわせて、とか
なんだかあったかいイメージを持ちがちですが
本質的にはいろんなものを含んでいるんですよね。
それは私たちが短絡的に、何か愛らしいものだけを求めて近づく
「チェコアニメ」と同じように。


何かを考えるきっかけになるものは、
それぞれがそれぞれに持っているんだろうけど
私にとっては、
チェコや東欧のアニメに、そのきっかけの種がたくさんある気がします。


イジー・トルンカの世界 vol.1 ― 「手」その他の短編 [DVD]

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2009年09月23日

鏡越しの寓話

韓国映画3本目。
『悪い男』
これもキム・ギドク。


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ギドク映画はいつも容赦がなくて
今回もそうでした。観るにはあまりにショックが大きくて。
不快は不快。でもまっすぐなんですよ、根が。
だからでしょうか、逆に魅かれていってしまうんです。

あとは何だか妙に、寓話的。
キム・ギドクの作品はいつもある種の「ベタ」を感じることがあります。
これはまっすぐさと関係している気がするのですが、
ただその「ベタ」は、よくある日本や韓国の
純愛映画や復讐映画の安っぽいベタとは違くて、
やっぱり全然違う分野にいます。
まるで寓話を、裏側から観ている様な気分になるのはそのせいでしょうか。


あと今回は音楽も映像と、気持ち悪くなるくらい噛み合ってました。
合っている分、脳にはより強い衝撃が与えられるんですがね。
ギドクっぽいなぁ。
ギドクの周りにいるひとはこんな濃度に
どうして耐えきれるのかな。
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2009年09月21日

ブレス


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実は9月は韓国映画月間でした。3本ですが。
2本目は『ブレス』
キム・ギドクです。


チャン・チェンの色っぽさったら何なんですか!
チャンは台湾の人なので、台詞はなかったですね。
もともと物静かな雰囲気が漂う役者さんだし、
キム・ギドクは映像が前面にきている
(その変わり、台詞がもうちょっとかと思うこともあるんですが。)
ので、観終わってから台詞がなかったことに気がつきました。


この映画を観ると…。
不思議になります。『悲夢』でやりたかったことは、既にここで全部果たされている気がして。
なんで『悲夢』を撮る必要があったのかな、と。
あちらの作品があまり好きでなかったことも含め、
まったくの個人的な感想ですが…。

たた、それだけこっちの作品の完成度は高かったです。
ストーリーはなんだかよくわからなくて難しいし、
解説はできないのですが、それでも作り上げられている感じがしました。
『絶対の愛』での映画引退を撤回してくれてよかった。

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2009年09月13日

総復讐

『復讐者に憐みを』



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パク・チャヌク監督の復讐三部作
『オールド・ボーイ』、『親切なクムジャさん』とこれ)、全部観れました。


すごいですね、この監督。
なんて言ったらいいかわからないけれど、
この映像のぐぐい、とした引力はなんでしょうか。
あとむせかえす様な血の臭いを感じます。

病気の姉を持つ耳の聞こえない青年と、
その恋人と、
ふたりが誘拐するこどもと、その父親。
哀しい犯罪と悲劇と復讐がめぐってて、
優しさがあるはずなのに、残酷さにがちっとも歯止めがかからない。

娘を誘拐された父親役のソン・ガンホはかっこよかったですが
映画自体がすごくまとまっていたから、
作品としてまず心に残ります。
しかし、
オールド・ボーイの主役の人も色っぽかったし、
韓国はなんでこういう、おっさんの色気が強いんでしょうかね…。
監督の男性の趣味(好んで起用する役者さんという意味ですが。)
は、私も好きです。
私の趣味かというとやや違う気もしますが、好きになります。


あと、映像がすばらしいです。痺れました。
臓器を買おうとする耳の聞こえない青年が、
売買組織についていくシーン、
階段をあがる映像が美しくて。
あの映像だけでもこの映画を評価できますよ…。


最新作『渇き』は観ていませんが
なんとなく、これは『親切なクムジャさん』に近い気がします。
監督の美学が表現されている気がして。
真っ白とか真っ黒と、あと鮮血がイメージされる。
『復讐者〜』と『オールド・ボーイ』は、もっと錆ついた感じ。
監督の現実といいますか。
この作品、そりゃあもう錆ついて、血が鉄の味をするようでした。
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2009年07月26日

空中散歩


マン・オン・ワイヤー スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD




自分でも不思議でしたが、
ドキュメンタリーというものを観たくなりました。
西洋のドキュメンタリーを。

ちょうどいい頃合に、ぎりぎり間に合う、といったところで
やっていたのがこの映画です。
『マン・オン・ワイヤー』。フランスの綱渡師・フィリップ・ペティットの話。


今は亡き世界貿易センタービルで、綱渡りをした人がいたとは知りませんでした。
あのビルの最期は誰もが知っていて
それでも映画ではそのことが一切語られなかったのがよかったです。
あくまでも、綱渡りをした男の話。
「あのビルは彼のためにあった」って言葉も出てましたね。


映画自体は、英仏の遊び心が出すぎていて、
もうちょっと演出を控えめにしてほしかった感はありました。
全篇昔の映像でもいいなぁ、と。

あんまり高すぎると綱が靄で見えなくて、
ほんとに空中を歩いているみたいです。
きれい。
それしか言葉が見つからない。
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2009年07月19日

武満徹の音楽世界

「武満徹の映画音楽」
自分にとってはどこかで待ち望んでいたはずの特集で
心を躍らせたのに、
一本しか観に行けませんでした。
しかも殆ど寝倒してしまい、内容覚えてません!かー。


『おとし穴』


勅使河原宏の世界 DVDコレクション

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  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD





安部公房と武満徹さんは、ものすごく合致します。
あの不条理感。不気味なの。


武満さんの音楽て、構築しながら壊されてるのか
壊しながら構築しているのか、よくわからないです。
破壊と創造はよく一緒に言われますよね、シヴァ神とか。
でもやっぱ破壊の方が破壊力がある。当たり前ですが。
破壊の方が心にのこるといいますか。
それも高尚に破壊されますとね。


安部公房は―、
自分でも好きかどうかはわからないんですが
高校のときの国語の教師が安部公房好きで、
教科書にも載っていなかった「棒」を読まされました。
読まされた、というのは失礼かもしれませんが
それでも状況的にはそうでした。
そのせいでちょっとしたトラウマになって
「壁」とか「箱男」とか手に取ってしまう。
ニヒルに笑う男がクロロフォルムをかがせて私を粒子にして、
どこかに消してしまいそうで怖いですよ。


眠らせたのはきっと、この人たちなんですよ。
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2009年06月28日

偶然の破壊

6月28日、か…。半年前のことです。
相変わらず更新が遅くてすみません。と、だれにともなく。

さて、キェシロフスキです。
『偶然』です。

何度も観ている作品ですが、キェシロフスキ特集があると
最初にプログラムを確認してしまうものです。
2009年末には、再販されていたDVDを購入できました。
(同時に、ようやくDVD化されたロシア映画
『変身』も購入できて、
アップリンク様々です。)
それでもきっと、家ではそんなに観ないで映画館へ通うんだろうな。


キェシロフスキ初期作品集II 偶然/殺人に関する短いフィルム [DVD]

キェシロフスキ初期作品集II 偶然/殺人に関する短いフィルム [DVD]

  • 出版社/メーカー: アップリンク
  • メディア: DVD





何度観てもの不条理が、美しすぎて眩暈がします。
いや別に不条理でもなんでもない、ほんとにただの「偶然」のこと。
そうなんだけど、不条理に観えてしまい
ラストシーンでみんなでこっぱみじんになるんです。

こっぱみじんこになるんです。
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