2009年04月05日
のこぎり引きの慶
『武士道残酷物語』
師を仰ぎ忠誠を尽くしたが為に周囲を不幸にしていく
哀しくも恐ろしい運命を辿る一族の話を
中村錦之助さんが7代にわたって演じ切るという
意欲的な作品なのですが
いや話も本当にきちっと作られていて、
武士道の愚かしい残酷さに
観ているこっちの方もえぐられる心が痛むのですが
音楽もジャジーでかっこいいし、
ベルリン国際映画祭で金熊賞とったというのも
なんかわかる気がするのですが
でもこの映画はすべて、
ひとつのエピソードに出てきた残酷な家臣、慶様にあるのではと。
主人公は苦悩しながら忠義を通して不幸になっていくのですが
慶様は忠義なんてさらさら無くて、
ナチュラルに、ただ慶様というだけで反旗を翻した百姓どもへ
「のこぎり引きの刑がよろしいかと」
って薄ら笑い(もちろん表情の筋肉は一切動かさない)ながら
殿様に提案できちゃうのではないかと。
加害者と被害者が成り立つとき、他のすべてのひとが
加担や同情を感じている、というのではなくて、
直接の加害者として君臨してはいないけれど
すべてを意のままに壊してしまう人が他にいる、
その図式がつくられることで
残酷は更に精度を増している様です。
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