2009年11月07日

人間


慶様特集つづき。
新藤兼人監督作品、『人間』


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新藤監督の存在を知ったのはわりと最近(3年くらい前)なんですが
特集上映のチラシで、「あぁ慶様がいくつか出ている」という着目で
作品の一覧を眺めていたからか
どうもこの『人間』と、あと『鬼婆』が自分の中ではセットになってます。
とは言え、『人間』は観たことなかったのですが。

今回の慶様特集では、どちらの作品も組み込まれていたのですが
予定が合わず、『鬼婆』の方は観に行けませんでした。


難破してしまった船、海神丸に乗った人々が
飢えと死の恐怖に苛まれながら、次第に「人間」を捨てていく様子が
衝撃的に、でもリアルに描かれてます。

慶様と乙羽さんの辿っていくところは、
ある意味で人間性を失っている様にも思えるけれど
でもあの独りよがりで、残忍なところがやっぱり人間なんじゃないかなぁとも
思えるところがあります。
「ヒューマニズム」って言葉を人間が勝手に作って
まるで人間が動物とは違う様に区切られてしまっているけれど、
人間も動物ですしね。
ただ、最後の最後のシーンに、
新藤さんの精一杯の人間への信頼が描かれているのだと思いますが。


ええと、全然、綺麗じゃないです。
慶様のギラギラした男臭さとエゴが、すごい勢いで滲み出してきていて
乙羽さんの生き続けたいっていう欲望が、湿りきった状態でじっとりと船の底に漂ってます。
殿山さんみたいな人は、ほんとはいないんじゃないかとも思う。
でもなんでだか、絶望する映画ではないんです。
いざという時には、慶様たちの様になるかもしれないと思いながらも
そこに嫌悪を抱くからかもしれない。
これがあるから、ラストシーンは実はいらないのかもしれないけど
あれを撮るのが新藤さんなんだろうな。高潔だから。


役者さんはもう言わずもがな!
あと、音楽もいいです。
まさかこのモダンな音楽が、この映画のものだったとは!
全てがパチっとはまっている、すごい作品です。
慶様のおなかと天然パーマがどうしても気になるところですが…。
posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

赤のチェック


『銭のとれる男』

昼はレーサー、夜はトランぺッターとして名を馳せる男(田宮二郎さん)の
没落と再起を描く作品だったのですが…
作りとしてはちょっと薄かったですね。


これも慶様特集のくくりだったので、慶様が出ているのですが、
その役所がなんとバンマスピアニスト。
しかもやくざ界に身を置くわけでもなし、ただただ純粋に善玉。

稀代の悪人・慶様にこの役を当てはめるとは、
一体だれが、どんな動機でもって提案し
どのような経緯で決定に至ったのか、
時間の許す限り関係者から根掘り葉掘り聞き出したいところなのですが
そんな機会は得られないので、敢えてその疑問には長居しません。
ただそれよりもなによりも、声を大にして言いたいのは
赤いチェックのステージ衣装、それも紐タイ(!)の慶様が兎にも角にも恐ろしすぎる!!


若い頃の江波さんが出ていました。
誰かに振り回される若い娘さんだった頃の江波さんも可愛らしいですが、
やっぱり江波さんは年をとってからの方が格段に魅力的ですね。

あと主演が田宮さん。
冒頭ではそりゃ生意気な役だったのが、
没落した頃ガソリンスタンドで出会い世話になった心優しい娘さんのおかげで
改心していきます。
個人的にはどちらも今一つだったかな。
田宮さんも(慶様とは分野が異なりますが)もっと悪い人間か
愛嬌100%の役所を演じている方が好きです。


それにしても赤いチェックの慶様は恐かった。
これに尽きます。

posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

処刑と志麻


慶様特集つづき。
『処刑の島』
篠田正浩監督作品です。


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ええと、偏見なのでしょうが、脚本家によって右翼的に観えてしまいました。
荒れすさぶ島の情景とか
三國連太郎さんの、これ素ではないだろうかと思わせる残虐非道・暴力性とか
慶様の陰湿な感じのいでたちとか
それぞれ、いい意味での恐ろしさというか、
篠田さんの演出力もみえるのですが、
どうも必要以上に右翼的に観えてしまい
そういうときってどうも、
いい作品と思いきれないんです。篠田さんは好きなのですけど。
やっぱり、篠田さんならばもっと女性(志麻さん)に視点があたった作品がいいなぁ。


でもこれも篠田×志麻の、黄金の組み合わせ作品ではあります!
志麻さんは珍しく髪をおかっぱにして、とんでもなく可愛らしかった。
世にも恐ろしい三國さんの娘役。


普段は慶様が世界一恐ろしいわけですが
この作品では三國さんの恐ろしさが圧倒的でした。
三國さんと鞭とか、三國さんと斧とかって、どうしてあんなに似合うんですかね。

慶様は少し小さな役で。
でもまぁあのサングラスな慶様もそりゃあ背筋ぞくっとしましたが。
志麻さんが慶様たちから逃げるとき、慶様側を通ろうとしたの見て
思わず席を立ちあがって制止したくなりましたが。


あ、『どぶ』で興味をもった信欣三さんが教師役で出ていました。
この教師の立場というのをクローズアップすると、
人間の脆弱性がもろに出て、別のテーマが浮き彫りになってきます。
posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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