2006年07月30日

おしゃべりな無口


ダルデンヌ兄弟の作品、『息子のまなざし』を観に行きました。

その年によってどうも「縁があるな」と
感じてしまう人というのがいて、
一昨年はロルカ、去年は谷中安規さんやキェシロフスキなどに
それを感じたんですが、
今年は、ダルデンヌ兄弟かな、と思います。

といっても、彼らの作品を初めて観たのは厳密には去年で、
今年に入ってからも今回で2回目。
「縁」と呼べるほどではないかもしれませんが、
けど、こういうのは直感で、
何故だか「縁があるな」とぴいんと感じてしまうんです。


映画はよかったです。
アップルパイを食べたカフェのシークエンスに
やけに締めつけられました。ぎゅう。
メインの役者2人もほんとに上手い。
静かで静かで、すごく痛いです。


ダルデンヌはわかってる。
想いは、そんなにカンタンに声にできるものでも、
言葉に置き換えられるものでもないことを。
黙っていても、頭の中ではコトバになれないままの
感情がめまぐるしく、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるしてて、
そこにあるのは静寂じゃない。
だから、無口な人の頭の中は、うるさかったりします。

ダルデンヌ兄弟はわかってますね。
彼らの作品、観るたびに好きになります。
『イゴールの約束』も観たいなぁ…。
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2006年07月23日

四谷怪談



といえば怪談なので、
納涼かねて、『四谷怪談』を観に行きました。

お岩さん役に岡田茉莉子さん、
伊右衛門役に仲代達矢さん。
美男美女です。
監督は、前から名前だけは知っていて気になっていた、豊田四郎さん。


そういえばきちんと「四谷怪談」を読んだり観たりしたことは
なかったので、
お岩の妹や、父親の話は知りませんでした。
単純に2人の話ではなかったのですね。

時代劇に関しては、
私は昔のものに信頼を置いています。
ドラマにしても映画にしても、今の時代劇はまず
"きれい"に撮ることを前提としていて、
夜のシーンは全然暗くないし、
色にしても、うそ臭い鮮やかさ(下品な感じ)が出てしまうし、
台詞も、「俳優」というものがめっきり少なくなった現代では、
ずいぶんと軽薄な印象を持つものばかりです。
そしてストーリーも、
わかりやすさ、もしくはアレンジに力を入れすぎて、
原作の持ち味が出せないことが多いですね。
むりに作って放送するよりは、
昔の時代劇ドラマを再放送してくださいと
頼みたくなります。


さて現代の時代劇批判はこのくらいにして、
やはり、岡田茉莉子さんは綺麗でしたね。
今はもうあんまりいない、きちんとした女優さんですし。
仲代さんは色っぽくって、
その色気が伊右衛門の残酷ぶりを浮き立たせていました。

出世欲の末の殺人と、横恋慕の末の殺人。
ふたりの男の愚かな行動が描かれていますが、
どうしてか、やっぱり出世欲の方が
冷酷に感じられます。
起こす行動は同じでも、
動機に人間がいるかどうかでこうも違うのか。
ヒューマニズムの勝利といったところでしょうか。
違うか。


醜貌メイクやネズミについては
どうなのかと思ってしまうところもあったけれど
けれど原作ものにしては、
監督の存在感も出ていて、
まぁまぁよかったのではないかと思います。


本格的な夏のはじまりはもうすぐ。
妖怪の元気な季節はもうすぐです。
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2006年07月22日

水の中の暮らし

Gさんライブ@吉祥寺マンダラ2

実に約10ヶ月ぶりとなる、マンダラ2でのGさんのワンマンライブ。
サポートはいつも通り斉藤さん。
ジャンタルマンタルを抜かせば、このツーショットも10ヶ月ぶり。

「ちゃんとしたPAのあるところでやるのは久しぶり」
とのことで、自分の声が耳慣れぬ大きさで響いていくのに
驚き気味のGさん。
「音の大きさだけでもう、どきどきします…。」
と言っていました。
そんな緊張感(もちろん音響も)がよかったのか、
この日はミスも少なく、空気も濃くて、
「沈んでる」感じの曲も多くて、
Gさん世界の本領発揮という感じでした。

こころなしか、いつもより曲が少なめにも感じられて、
私としてはもう一回くらいアンコールもほしかったのですが、
けれどまぁ、調子も良くて、脳に直撃の音楽だったのだから、
むしろ丁度よかったのかもしれません。
「こわれた」「G線上のスキップ」の流れとか、
ほんとにかっこよかったです。


MCは少なめで、
というかほぼ一つだけで、
「うちはカビがひどいことがわかって、あんまりひどいんで
除湿機ってヤツを2台も買っちゃったんですけど、
水がどんどん溜まってく様子を見てると、
水中と同じようなところで暮らしてるんだなーと」
思ったというお話。
ライブも終わる頃、
「言い残したことはありません、が、唯一した話が
カビの話ってのも…」と苦笑気味でした。

あとは斉藤さんとのちょっとした喧嘩(?)のような
場面があり、来月頭のジャンタルマンタルライブの
行方がいろんな意味で気になることとなりました。
まぁ、結局は仲がよいってことなのでしょうけれど。


はた、と気付けば新曲もたくさんで、
しかも好きな曲もたくさんなので、
新しいソロアルバムができる日も楽しみです。
けどとりあえず、ジャンタルマンタルのライブが
楽しみです。

セットリスト
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ガラスを割った犯人は


もう何年も前から気になっていたイラン映画、
『柳と風』を鑑賞。


脚本は私も大好きな名匠・アッバス・キアロスタミ。
監督も兼任してほしかったというのがほんとのところですが、
その名前を見るだけでもわくわくしてしまいます。

ストーリーは、ある少年が学校のガラスを割ってしまい、
貧乏ということもあってなかなか直せずにいたら、
「今日中にガラスを直さないと学校に来ちゃダメ」
とついに言われてしまう。
それからの少年の奮闘ぶりを描いたもので、
イラン映画には珍しくない展開。

…なのですが、
観ている最中、観終わってから、
どうにもひっかかることがいくつかありました。

・クレジットが英語表記だったこと。
・主役の男の子がどうも「西洋受け」しそうな感じなこと。
・ひとつひとつのシーンが、
 中東映画にしては解かりやすすぎるということ。

などです。
ラストは気になる感じに仕上げてはありますが、
それにしても、私が今まで観てきて、好んできたイラン映画とは
どうも距離を感じます。
ということで、欧米との合作映画なのかなと思い
見てみたらば、

ブー、はずれでした。
欧米とではなく、日本との合作…。


愛国心なんて持たず、自分が日本人であることというのさえ
普段そこまで意識していないのですが、
こういう時、なんていうか、「申し訳ない」と謝りたくなります。
キアロスタミファンの一人としても。

ガラスを割った犯人は、日本人でした。
あの少年でも、もちろんキアロスタミでもありません。
こうしてまたひとつ、愛国心は消えていきます。
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2006年07月21日

不謹慎処分


題名に惹かれるものがあったので
レンタルビデオ屋さんで借りた、
『二十歳の死』を観ました。
監督さんはただいま公開中の『キングス&クイーン』を撮った人だそうです。
そんな出会いが多いなぁ。


一時間にも満たない、短い作品でした。
ストーリーというよりも、「設定」という一場面をずっと映してる
ような映画でした。
一人の若者が自殺を図って、危篤状態になってる時、
彼の家族や親戚や知り合いがどうしてるか、
それだけの。

そして案外変わらずに過ごすんです。
案外楽しくやってたりするんです。
サッカーしたり、ボクシングの真似事したり、
大仰なBGMなんてなくて、
周りの人間は「生きてる」という感じで。
潔い不謹慎。


経験上思うのですが、
特別なひとが亡くなる日は、なぜだかとても静かです。
なぜだか突然、静寂が訪れて、
あんまり静か過ぎて、
普段気にならない音にも敏感に気付いてしまって、
そしてその都度、気が散ってしまいます。
死や悲しみに集中していたいのに、
むしろ普段よりも―だったりして。
そんなもんなんです。
そんなもんなんです。


もしかしたら、
生きているということは、それ自体で既に、
とても不謹慎なことなのかもしれません。
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2006年07月17日

コクトートモトモトノモト


もともと、昔、家に萩尾望都さんの漫画があり、
読んだことがあって、
そのイメージがものすごく強く残ってました。
『恐るべき子供たち』という映画を観ました。
監督はコクトーです。


「雪玉」を投げた男の子のイメージが強烈だったのに、
殆ど出てこなかったのに驚きでした。
ストーリーは既に忘れてしまっていて、
最初と最後の場面しか覚えていなかったのですが、
あの男の子の印象が強かったので。

観ているうちに思い出すだろうと思っていたストーリーが、
さっぱり思い出せなくて、ちょっと淋しかったです。

コクトーであれば、『美女と野獣』のほうが好みです。
ファンタジー向きというか、
「美女〜」の方が、彼の「美」の意識の世界が凝縮されているようで。


萩尾望都さんも、大好きな漫画家の一人です。
「日本じゃないな」という感じです。
もう一回、漫画の方も読みたくなりました。
ストーリーは忘れていたけれど、
それでも強烈な印象だったのです。
それをもう一度、取り戻したくなりました。

取り戻せるうちは、まだまだ私は大丈夫だと思うのです。
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2006年07月14日

下北フライデーズ


やなちゃんライブ「現場主義でいきまSHOW!」@下北沢440


440ではなんだか久々なやなちゃんのライブ。
ここ最近、440でやる時は抽選でのプレゼントが用意されていて、
冬はココアだったり、春はお茶だったりしたのですが、
夏である今回は冷やし中華。
…当たりくじ、ひいてしまいました。
いつもはかすりもしないのに。
けれど、私は冷やし中華がなんとも苦手なので、
当たりくじはこっそり隠しました。
お店の方には本当に申し訳ないです。


今回は今のところ私の中のNO.1ドラマー、外山明さん
と(「下北フライデーズ」と称して)一緒でした。
外山さんはやっぱりかっこよくて、お洒落。
そしてドラムさばきもやっぱり見事でした。
ほんとに「自由」に演奏します。
もうサポートというよりも、
外山さんのライブでもあるなーという感じでした。
外山さんも、もっと頻繁に観たいです。


やなちゃんも久々に、危ないと思うくらいおかしかったです。
本編最後の「あえて旅人」で声を枯らしてしまい、
アンコールでは妙にこもった、福山雅治のモノマネしてる人
みたいな声で「♪牛小屋で寝た 昼まで〜」と
歌ってはしゃいでました。
2回目のアンコールの後、姿を見せたやなちゃんは
「サディスト!!(笑)」
と、声枯れにも容赦しない客席に叫んでいましたが、
そこはやなちゃんがマゾヒストなので問題ありません。
(わざわざアンコールで「満月小唄」をやるあたり…)

用意した曲がなくなると、またしても
「自分リクエスト」で「高尾山」を。
アコーディオンなしのこの曲は初めて聴きました。
やっぱりアコはあった方がいいかな。


MCは少なめでしたが、
ジダン選手の頭突き問題(やなちゃんはジダン贔屓のようです。)
などについて。
「人生はロデオ」の曲中
「♪イヤな奴には〜頭突き〜」や
「♪アルジェリアを思い出せ!」といった即興を入れたり、
相手に浴びせる罵声も、「このヤシガニ野郎!」とかなら
いいのにねーという話をしてました。
相変わらずニュースへの反応、早いです。


何故かお客がいつもより少なめのようでしたが、
行って得する、というか、観なきゃ損という感じのライブでした。
「心に貯めようマイレージ」。





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2006年07月12日

なんでもないような


『好きだ、』という映画を観に行きました。
主演が宮崎あおい、瑛太、永作博美、西島秀俊と、
なんとも「旬」な顔ぶれ。
のわりに、あんまり話題じゃなくていいなと思いました。
のわりに、映画館は結構人が入っていたので、
レディースデーってすごいなと思いました。

すごく静かな映画でした。
ある男女が互いに想いを寄せながらも「好きだ」の一言が言えない、
そして17年経ってしまう…
そんなお話で、
前半は二人の高校生時代を、後半は17年後を描いています。


なんとなく、後半は無くてもよかったんじゃないかなー
と感じてしまいました。
いきなり17年後、で、再会、になってしまうので
その年月の重みも観てる方には伝わりにくいですし、
大事が起きるのも、似合う空気じゃない気がして。
後半で活きてくるものもあったので、
絶対無いほうが…とは言いませんが。
何より出演者が皆好きなので。

静かなわりに、カメラに拘ってました。
固定するのが好きなようです。
隙間から写したり、わざと人にモノをかぶせたり。

台詞は呟きのような、囁きのような。
それがなんだかリアルでした。
ぼそ、ぼそ、と進む日常。
建物の中のシーンでは明りも抑えていて、
傍から見てしまえば、なんでもないような
そんなのがリアルでした。

なんでもない日ばんざい。


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2006年07月10日

怒りくるったみどり色

ムーミン谷では色彩表現が豊かです。
たとえば、「怒りくるったみどり色」。
「どす黒い血色」。
「白いチョーク色」。

『ムーミン童話の百科事典』という本を
こないだ図書館で借りてきました。
わたしはムーミンの作者のトーベ・ヤンソンさんと
誕生日が同じということもあり、
ムーミンたち
(とりわけスナフキン。
 彼はトーベが最も愛した男性がモデルらしいです。)には
強い親近感があります。


基本的にはムーミンシリーズが情報源なので、
そっちの、もともとの本を読めば
事典なんぞに頼らなくて済むのですが、
ええとええと、なんでだか読んでなかったっていうのと、
あとはあとは、最近の読書スタイルが「拾い読み」になってる
ので、事典というのはとても手にとりやすいということが
あったので…。(こんなんで親近感どうのなどと、すみません。)

本をちゃんと読んでいなかった為、
初めて知ることがたくさんでした。

・スナフキンのお父さんはヨクサルといって、
 スナフキンにそっくりなんだなということ。

・ミイ・ミムラねえさんとスナフキンは異父姉弟だったんだな
 ということ。

・ムーミンパパは捨て子だったということ。

・ヘムレンさんは一人じゃなかったんだということ。

・スナフキンは日曜日にきいちごの葉のたばこを吸うこと。

・スノークのおじょうさんの身体はうれしいと黄色になること。

・ニョロニョロは種から生まれるということ。                    
エトセトラエトセトラ…


名言集なんていうのもついていて、
ほほぉー、と
感心してしまうものもいくつかありました。
スヌーピーから心理学を、プーさんから哲学を、
そんな本も少なくないですし、
外国の児童書はしばしば精神世界と結びついていますね。           

   おしゃまさんのことば
posted by Cui at 15:04| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月04日

糸の配列

『THE有頂天ホテル』『死者の書』という
ちょっと毛色の違う2本の映画を観てきました。


『有頂天〜』は、やはり三谷さん監督作品というだけあって
大人気。
しかもレディースデーだったものだから、大入りでした。

やはり三谷さんの脚本はすごいですね。
普段は「脚本ありき」の空気が漂う映画は
そこまで楽しめないのだけれど、
三谷さんはとことん役者との相性や、
場面場面の意義を考えてくれているので、
観ている側としてはすごく単純に楽しめます。
監督としてはどうかなと思っていたけれど、
今回はカメラの長まわしが
出演者の多さ、ストーリー展開の多様さに合致していて、
ふむふむなるほど、と頷けたのでした。

個人的に、伊東四朗さんがツボでした。
ドーラン…。
西田敏行さんもかわいかったです。
三谷さんの書く脚本は、
すごく緻密に計算されていて、
やたらめったらに張りめぐらされていた糸が
一変「伏線」として、
最後にはしゅっと繋がっていきます。


『死者の〜』は、
人形アニメーション。
日本を代表する人形アニメ作家、川本喜八郎さんの作品。
といっても、私にとっては初お目見えだったのですが。

まず題材が面白いです。
持統天皇によって死罪に追い込まれた大津皇子の亡霊と、
仏教の信仰の篤い藤原南家の郎女の話。
郎女が皇子の為に曼荼羅の布を織り上げます。
折口信夫さんの原作読んでないけれど、
このあたりの時代の物語にはすごく興味があります。

声優陣も岸田今日子さん、黒柳徹子さん、宮沢りえさん、
江守徹さん、榎木孝明さん等等と豪華。
人形も手抜きされていません。

人形アニメーションというのも残ってもらいたいものです。
CGアニメだけが日本のアニメじゃないですよ。

エンド・クレジットには知っている名前がちらほら。
「友情アニメーション」として
敬愛する映像詩人、ユーリ・ノルシュテイン。
「サポーター」には多くの人の名が連ねられていて、
声の出演をしている今日子ちゃんや徹子さんなどの他、
佐野洋子さん、馬場あき子さん、
大山のぶ代さん、ジェームズ三木さん等等、
各界の著名人たちも。

文楽ともちょっと違った人形アニメ。
渋い渋いアニメ。
けど旨い。
こういう味が、ずっと残っていけばなぁと切に願います。
posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月03日

おどれカーニバル

『エレファントマン』
というタイトルにはなんだかウキウキさせられてしまったのですが、
すごくシビアな映画でした。テーマが。厳かでした。

先天的に頭が異常に大きくて、身体に多くの腫瘍を持つ異形の男は、
見世物小屋で「エレファントマン」と人々からなじられながら暮らしていた。
その後病院に行き今度は一躍有名人として
人々から同情されるようになるのだけれども、
結局はそれも「見世物」になってるにすぎなくて、
彼が望んでいたのは、ただ普通の人間として接して欲しい
ということだけだった…。
という話です。
病院で「有名人」となったところで「めでたしめでたし」に
しなかったのがこの作品の良い所でした。

カニバリズム…というのは使い方が違うかもしれませんが、
こういう差別や偏見って、
肉体的、あるいは精神的な「障害」(病気としての)だけじゃなくて、
もっとありますよね。
例えばナチスによるユダヤ人迫害だったり、
部落差別、
「カニバル」の語源の「人喰い」も。
それから社会的なレベルに揚げられなくても、「いじめ」も
もちろんそうだと思います。

私なんぞは、自分が(社会的な物言いをするならば)
「オカシイ」のではないかと悩んだこともありますし、
逆に今はむしろ
「オカシク」なりたい、とか、
「オカシク」なるべきだとか、そんなことも考えています。
畸形(肉体だけじゃなくて)というのは、
なんていうか、核みたいなものじゃないかと思うんです。


映画のテーマとは反れてしまいますが、
問題は、「社会」があるから差別が生まれるということではないかな。
畸形の存在はむしろものすごく純粋なカタチなのではないかと。
やっぱり、痛くても皮がめくりあがった存在でいたいとか、
考えてしまいます。
けれどそこに塩を塗り込むのが「社会」です。
塩は勘弁です。

私は、エレファントマンの「社会に、普通の人間として
他の人と同じ様に愛されたい。接してもらいたい。」
という願望とはきっと裏表で、
どちらかというと、
「社会の人が、みんな自分も畸形だと自覚すればいい」
という考えです。
その時、畸形はなくなるかもしれませんが、
私は別にそこを目指しているんじゃありません。
それでも自分は畸形じゃないか、そんなことを
ずっと考えていきたい。
そう思うんです。
posted by Cui at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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